石油の不溶物を電気に!鹿島製油所のSDA装置で2016年開始の「ENEOSでんき」へ活用

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2015年12月09日 22:10  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

“工場萌え”の方にはたまらないであろう上の写真は、ガソリンスタンドのENEOSでおなじみ、JX日鉱日石エネルギーが鹿島製油所(茨城県神栖市)に設置した新型装置だ。

12月2日に竣工式が行われ稼働を始めるもので、溶剤脱れき装置、通称『SDA装置』と呼ばれている。

で、何をするかと言うと、石油精製の過程で生成する重質油を『脱れき油』と『SDAピッチ(超重質な抽出残渣)』に分離するという装置なのだ。

「脱れき油」を石油化学製品に

『脱れき油』はさらに分解され、石油化学製品などの原料になる。

石油化学製品と言えば、例えばPPやPE、PVCなど……要はウェアやシューズ、テレビの外装、メガネのレンズ等々、我々の生活に身近な様々な製品の材料になるということだ。

また、他にも軽油の原料としても使用することが可能だ。

注目は「SDAピッチ」

注目は『SDAピッチ』。

これは、ボイラ・タービン発電施設、つまり火力発電の燃料として使える。

JX日鉱日石エネルギーでは、このボイラ・タービン発電施設を鹿島北共同発電(茨城県神栖市)より購入し、『SDAピッチ』を燃料にできるように改良。

発電した電力は、業務用や産業用に使うと共に、2016年4月からスタートする家庭用電力の『ENEOSでんき』にも使用される。

『ENOSでんき』は、来年スタートする電力の自由化により、JX日鉱日石エネルギーが新たに始めるサービス。ご存じの通り、この新制度は、電力の一般家庭販売に新規事業者が参入できるようになるもので、同社もこれに名乗りを上げているのだ。

ちなみに、『SDAピッチ』などになる重質油は、沸点が高いアスファルトなどの残渣(ざんさ)成分、つまり石油製品の生成後に出る不溶物が多い。

その処理の仕方によっては環境に悪影響を与える可能性が高く、近年需要も減退しているという。今回のSDA装置は、そんな重質油を、できるだけクリーンに処理する方法のひとつだ。

いずれにしろ、今回の新装置導入は「石油の残渣(不溶物)を電気へ」という、新しい試みだ。

原発の稼働が止まっている日本では、電力の確保は最重要課題のひとつだけに、今後も注目だ。

【参考・画像】

※ 鹿島製油所における溶剤脱れき装置および発電設備の竣工式について – JX日鉱日石エネルギー

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