出生率の向上に向け、「非正規雇用労働者の育児休業取得」を義務付ける動き

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2015年12月16日 14:10  QLife(キューライフ)

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「希望出生率1.8」の実現に向けた具体的施策の検討がスタート

 安倍内閣が2015年9月に発表した「新3本の矢」には、少子化対策の実現目標として「希望出生率1.8」が掲げられています。希望出生率とは、国民が出産を希望する子どもの数を指します。一方で、2014年時点での合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推定される子どもの数)は1.42。「希望出生率1.8」を実現すべく、「1億総活躍国民会議」で具体的な議論が始まりました。

 その中で提言された施策の一つが、「非正規雇用労働者の育児休業取得」を実現するための法改正です。労働人口における非正規雇用の比率は37.4%を突破し(総務省『労働力調査2014年』)、増加傾向にあります。現時点でも非正規雇用労働者の産休・育休取得は可能ですが、実際の取得は容易ではありません。厚生労働者の調査によると、派遣社員の48%がマタニティハラスメントを経験しており、正社員の2倍以上に上っています。この現状から、非正規雇用労働者の育児休業取得を義務付けることが必要であると考えられているのです。

 現実的に、「非正規雇用労働者の育児休業取得」は実現できるのでしょうか。この問題に対して、人材派遣求人サイト「エン派遣」を運営するエン・ジャパン株式会社が、派遣会社184社に対してアンケート調査を行いました。法改正にかかわらず育児休業取得に対応できるか尋ねたところ、「できる」と回答した企業は46%。続いて「わからない」が33%、「できない」が21%という結果になりました。

派遣先企業の理解と休業中の負担金補助が実現の鍵

 育児休業取得への対応は、派遣会社側の負担がさほど大きくなく、育休に入った場合の人員補てんを計画的に進められるため、問題はないというのが「できる」と回答した企業の見方です。コメントには、「人手不足が深刻化する中で、貴重な人材を出産・育児というイベントによって失いたくない」という意見も挙がりました。

 一方で、「対応できない」と回答した企業がその理由として挙げたのは、「派遣先企業の理解が得られない」で、85%に上りました。そのほかにも、「育休復帰後の勤務時間変化に対応できない(60%)」、「代替要員を確保できない(46%)」といった理由が挙げられています。

 この調査結果から、派遣就労者の育児休業取得をかなえるためには、派遣先企業の協力が鍵を握っていることがわかります。その意味で、法改正による義務付けは有効な手段といえそうです。また、育児休業中の給与の支払いや保険料負担について懸念する声も挙がっています。この問題を解決するためには、補助金についても検討する必要があると言えるでしょう。(宮坂方子)

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