いわずもがな、再生可能エネルギーへのシフトは、地球規模で取り組むべき重要なテーマ。
近年、その代表格である太陽光発電や風力発電は、世界各地に広がり続けているが、これらのエネルギーは、天候や季節などによって出力変動が大きい。
それゆえ、需給バランスを補うためには、余剰電力を貯めておく蓄電池や蓄エネルギー設備のさらなる開発と普及が課題となっている。
バッテリーパックを介し、ユーザー間でエネルギーを融通
米ミズーリ州カンザスシティを拠点とするスタートアップ企業『Verd2GO』は、バッテリーパックを介したオフグリッド型の電力インフラの構築に着手した。
このユニークな電力インフラは、家庭やオフィスビルなどで発生した余剰電力を専用のバッテリーパックに貯め、指定のバッテリーステーションに持ち込むことで、電力を必要とするユーザーに“売電”できる仕組み。
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電力を利用したいユーザーは、バッテリーステーションのドックから充電済みのバッテリーパックを引き取れば、スマートフォンから電気自動車まで、様々なものにその電力をすぐ利用でき、バッテリー残量がなくなったら、バッテリーステーションに再び持ち込んで、他のユーザーが充電したバッテリーパックと交換するという流れになっている。
また、『Verd2GO』の専用スマートフォンアプリでは、バッテリー残量を常時モニタリングできるほか、スマートフォンのGPS機能により、現在地近くのバッテリーステーションを瞬時に見つけ出すことも可能。
ユーザーが必要なときに必要なだけ、電力を調達するための工夫が施されている。
シェアリングエコノミーとオンデマンドが融合した、新しい電力インフラ
『Verd2GO』のサービスモデルは、ユーザー間で使わないモノを融通し合う“シェアリングエコノミー(共有経済)”と、人気の配車サービス『Uber(ウーバー)』に代表されるオンデマンド型サービスを融合させ、エネルギー需給のリアルなマッチングに応用しているのが特徴。
実用化に向けて、バッテリーステーションをどれだけ充実させることができるかが、今後の課題となりそうだ。
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電力が自由に持ち運べる時代へ!?
トヨタの『プリウスPHV』、ホンダの『FCX CLARITY(クラリティ)』、日産『リーフ』、三菱自動車の『アウトランダーPHEV』など、日本の自動車メーカーでも、電力を外部に給電できる“外部給電機能”を搭載したHV(ハイブリッドカー)やPHV・(プラグインハイブリッドカー)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)などの次世代環境車が次々と開発されてきた。
『Verd2GO』は、自動車よりもさらに持ち運びしやすいバッテリーパックを活用することで、電力の“ケータイ化”を一歩すすめる取り組みともいえるだろう。
【参考・画像】
※ Verd2Go
※ トヨタ プリウス PHV
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※ kriangkrai wangjai / Shuttestock