【連載】列車ダイヤを楽しもう 第72回 北海道新幹線のダイヤを東北新幹線の現行ダイヤに重ねてみた

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2015年12月20日 08:12  マイナビニュース

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写真提供:マイナビニュース

2016年3月26日に開業する北海道新幹線について、12月18日にダイヤの詳細が発表された。基本的には東京〜新青森間「はやぶさ」のうち、いくつかの列車を延長するダイヤになっているようだ。そこで、現在の東北新幹線のダイヤを描き、北海道新幹線の駅を追加して、北海道新幹線のダイヤを描いてみた。やはり時刻表の表示よりも、列車ダイヤのほうが列車の運行の様子がよくわかる。


緑が「はやぶさ」、赤が「はやて」だ。今回は東北・北海道新幹線直通列車を重視したため、「やまびこ」「なすの」、そして単独運行の「つばさ」は黒で統一した。さらに、青函トンネル内の貨物列車との関係を見るために、奥津軽いまべつ〜木古内間の貨物列車のダイヤを黒の点線で追加している。


この貨物列車のダイヤは、当連載第37回で作成した「津軽海峡線」ダイヤを参考にした。第37回でも書いたように、鉄道貨物協会が発行する『2015貨物時刻表』では、青森信号場と函館貨物駅の発着時刻しか掲載されていないため、憶測で作っている。今回はその憶測のダイヤの一部を切り出して反映させている。青森県側の合流点は、実際には奥津軽いまべつ駅より少し新青森駅寄りだ。参考までと考えてほしい。


東北新幹線も、実際にはダイヤ改正でさまざまな変更があるだろうし、貨物列車も同様だ。2016年2月以降に発売される時刻表で正確なダイヤがわかるまでの参考資料である。この連載の趣旨は正確な分析ではなく、「楽しもう」である。現在の情報で楽しもう。


全体を見ると、「はやて」が少なく「はやぶさ」が隆盛を極めている様子がわかる。東北新幹線が新青森駅まで全通した当時、新青森行は「はやて」だけだった。「はやて」は自由席がない特別な列車、というイメージが強かった。後にE5系「はやぶさ」が誕生し、ダイヤ改正のたびに増えていたとは知っていたけれど、これほどまでとは驚きだ。なお、北海道新幹線を走る「はやて」は2往復。どちらもE5系またはH5系である。


東北新幹線は東京駅から離れるほど列車が減っていく。ちなみに東京〜大宮間は上越新幹線・北陸新幹線も乗り入れている。今回は反映していないけれど、東京〜大宮間は実際はもっと列車が多い。次に多い区間は仙台駅まで、仙台〜盛岡間でほぼ半減して、盛岡〜新青森間でさらに減る。もちろん需要を反映した運行本数だ。


新青森〜新函館北斗間の運行本数が少ないという批判もあるけれど、東京からの減少傾向と照らし合わせると妥当かな、という気がする。それでも下り14〜15時台・19〜20時台、上り8〜9時台・11〜12時台は寂しい。1時間に1本、せめて90分間隔でそろえてほしかったなあと思う。


とくに始発列車が6時ぴったりではないところが悔しい。東海道新幹線も東京発博多行「のぞみ」は6時ぴったりの発車だし、先行する品川発博多行「のぞみ」も6時発だ。博多発・広島発・新大阪発の上りも6時ちょうどから始まる。東京駅は上越・北陸新幹線もあるから難しいのかな…と思ったら、東京駅6時0分発は東北新幹線が持っていた。臨時列車の「はやぶさ61号」だ。これを定期化して新函館北斗駅まで走ってくれたら、10時半までには新函館北斗に着く。「はこだてライナー」に乗り換えて、函館着は11時前。ひと仕事終えてランチ、観光なら最初の目的地でランチというゆとりが生まれる。


上りも同様で、6時発を設定してくれたら、東京着は10時半前後になった。もっとも、こちらは東北新幹線側に新青森発7時頃発の「はやぶさ」がないので、現行ダイヤの延長では設定できない。最終列車も、上り・下りともにあと30分遅くまで頑張ってほしかった。始発と最終で30分ずつ頑張ると、滞在時間を1時間延ばせる。


最終便は航空機の最終便と対抗できる時間帯だ。航空便も北海道新幹線も、上り最終の出発時刻はほぼ同じ。下りは羽田空港の最終便が17時30分と早いので、東京駅19時20分発の「はやぶさ29号」は便利。18時台にも新函館北斗行があるともっとよかった。本当に惜しい。現行ダイヤの手直しではなくて、白紙ダイヤ改正をやってほしかった。航空会社も対抗策を出してくると思うので、次のダイヤ改正に期待したい。


北海道新幹線部分を拡大してみよう。新幹線とはいえ、1日に13往復といえばローカル線並みの運行本数だ。すれ違いも少ない。青函トンネル区間は貨物列車もあるから複線で作られたけれど、それ以外の区間は調整次第で単線でもなんとかなりそうな感じ。もっとも、多客期は臨時列車が設定されるだろう。新青森駅発着の列車を新函館北斗駅まで延長する形で臨時列車が設定されると思う。ダイヤにもゆとりがある。


懸念はやはり貨物列車との競合だ。貨物列車のダイヤは参考として見てほしいけれど、こうしてみると、新幹線の運行間隔が広い部分は貨物列車が2〜3本設定されている。そして、前後に貨物列車が走る時間帯は、新幹線と貨物列車の傾きがほぼ同じ。つまり、新幹線列車が貨物列車の速度に合わせて走っているとわかる。北海道新幹線の最速列車は東京駅8時20分発・9時36分発、新函館北斗駅17時21分発だ。ダイヤをたどると、前後に貨物列車がなく、他の列車と傾きが異なっている。


今後、北海道新幹線のスピードアップや増発は貨物列車との兼ね合いになってくる。そういえば、JR東日本のクルーズトレイン「トランスイート四季島」も北海道上陸を検討しているという。このダイヤを見る限り、いままで「カシオペア」が使っていたスジは流用できそうだ。あれ、それならどうして「カシオペア」は廃止になってしまったのか……? 新幹線の開通によって、日中の貨物列車の時刻が深夜に寄せられてしまったか。


これ以上は来年2月、ダイヤ改正の詳細が時刻表に掲載されるまではわからない。そのときに改めてダイヤを描き、謎解きを楽しむとしよう。


(杉山淳一)



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  • はやぶさ61号の毎日運転は面白いけど新青森→新函館北斗が仙台始発のはやぶさと15分置きで2本雁行しちゃうのでリアリティがない
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