ちょっとした傷なら放っておく、という人は多いだろう。
私も猫と暮らしているので、うっかり数センチの長さのひっかき傷を負うことがあるが、大抵は放っておくか、水道水で血を洗い流す程度で済ませている。
しかし、大きな怪我をした場合は、その傷口から感染症になる可能性がある。
この感染症も、傷が治りにくいといった程度なら良いが、場合によっては命に関わる可能性もあるのだ。
そのため、病院では念のために抗生物質を投与することがあるが、これもむやみに投与してしまうと、細菌に薬への耐性を与えてしまうこともある。
|
|
そこで、悪性の細菌が登場したときだけ色を変えて知らせてくれる絆創膏が開発されている。
病原となる細菌だけに反応して変色する絆創膏
細菌の存在を色の変化で知らせてくれる絆創膏を開発しているのは、バース大学とブリストル王立小児病院の研究チームだ。
この絆創膏は、細菌の存在をキャッチすると蛍光色の緑色に変化するが、その色は電気などで発光しているわけではない。
絆創膏に、蛍光色の緑色の染色剤が入ったナノカプセルが仕込んであるのだ。
このカプセルは、病原となる細菌から出された毒素に反応して破れるようにできている。そのため、絆創膏が蛍光色の緑色に変化する。
|
|
このカプセルは、人体にとって有害な細菌だけに反応するため、普段から皮膚に存在する無害な細菌には反応しないという。
なお、ここでは動画を紹介しているが、痛々しい子供の姿が映し出されるので、気が弱い人は注意して欲しい。
動画の冒頭でも英語で注意が表示される。
現在の研究段階では、3種類の病原に絆創膏は反応し、無害なバクテリアには無反応だったらしい。
この絆創膏が実用化されれば、細菌の存在をいち早く知ることができるため、感染症を予防できることが期待されている。
|
|
細菌が抗生物質への耐性を持つ事を防ぐ
この変色する絆創膏が期待されているのは、抗生物質を投与するタイミングを知ることで、不必要な抗生物質を避けることにもある。
というのも、医師は感染症の予防のために、抗生物質を投与し過ぎることがある。その結果、かえって細菌に抗生物質への耐性を持たせて状況を悪くしてしまうことがあるからだ。
しかし、病原となる細菌の存在を絆創膏が知らせたときだけ抗生物質を処方すれば、効果的な治療ができる。
この絆創膏は、既にプロトタイプとしてはできており、2018年には臨床試験を始められる見込みだ。
実用化されれば、感染症を防ぐ有効なツールとなって医療現場を助けるだろう。
【参考・画像】
※ A Bandage That Glows to Warn of the Presence of Bacterial Invaders – MIT Technology Review
※ Un cerotto che individua le infezioni – Wired
【動画】
※ Colour-changing burns dressing will help in the fight against infection and antibiotic resistance – Vimeo