
週末の楽しみ方が変わりそうだ。
仮想現実の中に実際に入り込み、体を動かして、風を感じて、衝撃を受けながら謎を解く。そんな冒険をする新たなエンターテインメントが始まる。
それはまず、米国ユタ州から始まろうとしている室内型テーマパークだ。
そこに入ると、異世界に迷い込むことになる。
仮想現実の世界を体感しながら冒険する
この室内型テーマパークの名は『ボイド(VOID)』という。
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ここからは『MIT Technology Review』に掲載された、Rachel Metz氏の体験談を元に様子をうかがってみよう。
まず、灰色の壁に囲まれた迷路の一角のような場所が基点となる。
そこでVRヘッドセットとヘッドホン、そして自分の動きを捉えるヘルメットを被り、背中にはバックパックのような装置が取り付けられる。
するとすぐに、異世界に入り込む。辺りはジャングルに変わり、目の前には古代の彫刻が施された、寺院の入り口が冒険の始まりを告げている。
見ると壁にトーチがある。それに手を伸ばすと、実際に掴むことができるではないか。そのトーチを持ち上げ、辺りを照らしながら彫刻が刻まれた壁に沿って進む事ができる。
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仮想現実の世界にいるはずだが、落ちている石や壁に手を伸ばせば触れることができる。また、火が燃えていれば、顔に熱を感じるのだ。
これが、ソルトレークシティの郊外に建設された、新たなエンターテインメントセンターでの体験の一部だ。
仮想現実と実態のある壁や風などを組み合わせて、歩いたり触ったりして体感できる、仮想現実が生み出されている。
仮想現実を体感できるのはもうすぐだ
このところ、仮想現実の技術が次々と身近になってきている。
2014年には、FacebookがヘッドセットメーカーのOculusを買収した。そして一般消費者向けのヘッドセット『Rift』がこの冬に発売されるだろう。
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また、Googleやサムスンが、スマートフォンで仮想世界に浸れるデバイスをリリースしている。
これらのデバイスは、リビングに仮想現実をもたらすかもしれないが、ボイドのクリエイターたちは、もっと大がかりな仮想現実を用意している。
まずは、ユタ州のプリーザント・グローヴに、8エーカーのゲームセンターが建設されている。このプロジェクトは、以前インターネットセキュリティ会社のDigiCertを立ち上げた、起業家のKen Bretschneider氏が率いている。
そこでは、6〜8人のグループがヘッドセットなどを装着し、仮想現実の世界を20分間冒険するために、一人ずつ34ドルを支払う。すると、60×60フィートのステージを動き回ることになる。
『ボイド』の完成版は、8月か9月までオープンしない予定だが、既にベータセンターが開設され、新しいもの好きの訪問客は、10ドル払うことで6〜7分の体験版を試すことができる。そこは30×30フィートのステージが用意されているのだ。
そこでは、古代の寺院や薄汚れた未来的研究施設を歩きながら、待ち受ける巨大なクモやエイリアンと対峙することになる。
また、寺院で見つけたエレベータに乗れば、実際に移動するように感じ、地面に降り立つとジャングルに入ったように感じさせるために、実際に霧が吹き付けられ風を感じ、ジャングルの湿った空間を感じられる様になっている。
なお、『ボイド』では戦闘機に乗ってシューティングする仮想現実を体験できる施設も設置される予定だ。これはかなりテンションが上がる体験になるだろう。
まずは、ユタ州での『ボイド』が成功すれば、日本に上陸することもあるかもしれない。
【参考・画像】
※ The Vision of Infinite Dimensions – THE VOID
【動画】
※ THE VOID – YouTube