慢性的な関節炎や腰痛のある人に朗報だ。
イギリスのウェスト・ミッドランズ州コヴェントリー市にあるウォーリック大学と、同大学のスピンアウト企業であるMedherant社は、世界で初めて、正確に一定の量の薬を皮膚から浸透させることが可能な、イブプロフェンのパッチを開発した。
このパッチは、粘着性がある透明なパッチで、皮膚を通して直接痛みに対してイブプロフェンを長時間一定量で加え続けることができる。その時間は12時間継続可能だ。
そしてこの開発は、有害な量のイブプロフェンを服用することなく、慢性的な腰痛や関節炎、神経痛の痛みを長時間取り除く鎮痛剤として、店頭で販売される可能性を開いた。
新技術の3つの特徴
既に、イブプロフェンを含んだジェルが販売されているが、これらでは投与量を調整することが難しかった。
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しかし、開発されたパッチは、世界的な接着剤の会社であるBostik社によって開発され、Medherant社が独占的に使用できる“ポリマー技術”が取り入れられているのだ。
その新技術には次の様な特長がある。
・薬の量がパッチ自体の重さや体積の30%に達するほどの量になっても、パッチ自体の粘着性は落ちない。これは従来の医療用パッチやジェルの5〜10倍の性能であることを示している。 ・従来の医療用パッチやジェルでは不可能だった、長時間にわたり一定量の薬を放出できる性能を持っている。 ・透明で見た目がスッキリしていて、他の類似製品よりも高い粘着力を持ちながら、剥がしやすい特性を持っている。
2年後の市場投入を目指す
ウォーリック大学のDavid Haddleton教授によれば、市販されている多くのパッチは、単に加温効果によって痛みを和らげようとしているのであり、疼痛緩和剤は全く含まれていないという。
しかし、彼らの開発は、イブプロフェンのような有効な薬を必要なだけ搭載できるパッチを生産できることを示した。
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その結果、患者の快適さを向上させるために、他の有効成分を搭載でき、粘着性を高めることができる様になったと。
つまり、このパッチの技術は、イブプロフェンの利用だけに限られないということだ。現在店頭で売られている多くの治療薬にも、このパッチを応用することができる。
また、Medherant社のNigel Davies CEOも語っている。
開発されたパッチ技術は、皮膚を通して効果を出せる様々な薬の活用に拡大することで、薬物の効果を引き出すことができる。
その結果、患者により良い体験を提供し、安全性や効果を高め、医療制度への経済的利益ももたらすだろうと。
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そして彼らは、この製品を2年後には市場に出し、次世代の経皮ドラッグデリバリー・プラットホームを作っていきたいとしている。
【参考・画像】