国際連合食糧農業機関(FAO)によると、食料生産量の約3分の1に相当する食料が、消費されないまま廃棄へ。
特に、劣化の早い野菜や果物は、食料廃棄率も高く、実に、生産量の45%が廃棄されている。
近年は、冷蔵・冷凍技術はもとより、温度や湿度を自動制御するシステムなども大幅に進化し、青果物の鮮度をより長い時間、保持しやすくなってきた。
しかし、このような設備やソリューションの多くは電力を要するため、電力インフラが十分に整備されていない地域では、まだ活用しづらいのが現状だ。
わずかな水とソーラーパワーで食料の鮮度をキープ
ベルギーの起業家アルネ・パウエルズ(Arne Pauwels)氏は、収穫後の保管段階での食料廃棄量を軽減するソリューション『Wakati(ワカチ)』を開発。
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これまでに、タンザニアやウガンダなど、13カ所で実証テストを行っている。
『Wakati』は、太陽光エネルギーを活用したテント型食料保管システムだ。
3ワットの小型ソーラーパネルで発電したエネルギーを使って、6.7オンス(約190ミリリットル)の水を蒸発させ、テントの内部に適度な湿度をもたらすことで、野菜や果物の鮮度を、最長10倍も、長持ちさせることができる。
青果物の鮮度の決め手は、温度ではなく、湿度
『Wakati』の基本的なメカニズムは、パウエルズ氏が、アントワープ大学(University of Antwerp)の修士課程に在学中、卒業研究を通じて構築したもの。
収穫前の農作物は、温度の高い土壌でも新鮮であることから、青果物の鮮度を保持するために重要な要素は、温度ではなく、水分補給であることに気づいたという。
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既存の恒温高湿庫は、食料の鮮度を保持する手段としてすでに広く活用されているが、大量の水を消費するため、水資源が希少な地域に適しているとはいえない。
そこで、『Wakati』では、テントの構造を応用し、内部に水蒸気を閉じ込めることで、少量の水でも、高湿な空間を創り出す仕組みとなっている。
生産物の無駄を軽減するサステナブルなソリューション
安定的に食料供給を確保するためには、農業生産性の向上もさることながら、「いかに、生産物を無駄にすることなく、消費するか?」ということも重要なポイント。
『Wakati』は、生産から消費までの一連のサプライチェーンにおいて、とりわけ収穫後の保管プロセスに着目し、環境に優しくサステナブルなエネルギー自立型ソリューションを、発展途上国をはじめとする多くの地域に提供しようとしている点が秀逸だ。
【参考・画像】
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※ Wakati
※ SAVE FOOD: Global Initiative on Food Loss and Waste Reduction – FAO
※ Food wastage footprint Impacts on natural resources – FAO