クルマの自動運転化と共に、最近急速に開発が進められているのが、運転支援システム。
運転中に、クルマのカメラやセンサーなどが周りのクルマや歩行者を認識し、事故発生の危険がある場合にドライバーへ知らせる、または、クルマ自体が自動で停止……などといったことが主な機能だ。
カーメーカーでも、スバルが市販車に採用した『Eye Sight』を契機に、トヨタの『ITS』やホンダの『SENSING』など、各社が新型車を中心に搭載し始めている。
が、クルマの平均耐用年数は12年以上。
全てのクルマに搭載されるまでには、まだまだ時間が掛かりそうだ。
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そんな中、どんなクルマにも搭載が可能な運転支援デバイスが登場した。
日本のハードウェアスタートアップ企業Pyrenee(ピレネー)社が製作した『Pyrenee Drive Screen(ピレネー・ドライブスクリーン)』がそれだ。
最新の画像認識技術を採用
2016年中の発売を目指して、現在開発中のこのデバイス。
製品が完成すれば、誰にでも使えて、どんなクルマにも装着ができる運転支援デバイスとなる予定だ。
まず、取り付けだが、透過スクリーン付きのユニットを、クルマのダッシュボードにセットするだけ。特別な工事などは一切不要だ。
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クルマの走行時には、ユニットに設置したカメラとセンサーが、常に走行状況をモニタリング。
最新の画像認識技術により、周囲のクルマや歩行者などをカメラが認識し、自車との距離や位置関係、速度などを把握する。
要は、最近話題の人工知能的な機能が搭載されているわけだ。
で、例えば、前を走るクルマとの距離が近づき過ぎた場合などに、透過スクリーンから“衝突注意!”のアラート。
また、同時に音声でも注意を促してくれる。
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通常走行時は、スマートフォンと繋げることで、スマホアプリの画面を透過スクリーンに表示することも可能だ。
ナビゲーションとして使ったり、電話や音楽、映像を楽しむことが可能。
また、スマホの音声認識機能を使ってアプリを起動させ、スケジュールの確認・追加をしたりすることもできる。
運転中によそ見する危険が激減
透過スクリーンには、他にも、クルマの走行速度などを表示することもできる。
つまり、視線移動が少なくて済むヘッドアップディスプレイ的な役割もしてくれるのだ。
クルマの様々な情報を、運転中にできるだけ前方から視線を動かさずに認識できることは、事故の軽減にかなり貢献するはずだ。
自動停止機能が付いているクルマでも、時速50km以上で走行している場合は、事故回避はドライバーのハンドル操作が重要だと言われている。
ドライバーが、いかに危険を早めに察知するかが、事故を起こすかどうかの分かれ目になるのだ。
そんな意味で、最新の“スマートなクルマ”であってもなくても装着でき、『よそ見運転』の度合いが確実に減るこのデバイスは注目。
まだ、価格やリリース時期は未定だが、製品化が実現すればかなり注目の製品になることは間違いない。
「GUGEN2015」で優秀賞
ちなみに、このデバイスは、ピーバンドットコムが主催する日本最大級のハードウエアコンテスト『GUGEN2015』の出展作品だ。
このコンテストは、世の中に新しいハードウェア製品を生み出そうとするスタートアップ企業を支援する目的で、2013年から開催されているもの。
各出展者の作品を公式ウェブページ上で発表し、一般投票や審査員の選考により、最も実用性や商品性が高いアイデアを選定。大賞や優秀賞の作品には、表彰や賞金の授与が行われる。
3回目となる今回は、112作品がエントリー。『Pyrenee Drive Screen』は、その中で大賞・優秀賞の候補10作品のひとつに選ばれ、12月19日に東京・秋葉原で開催された展示会・受賞式に進出した。
残念ながら大賞こそ逃したものの、見事に優秀賞をゲット!
賞金20万円相当が授与されたとともに、今後は製品化に向けたスポンサー企業の開発援助やマーケティング支援、パートナー企業の紹介などが行われる。
優れたデバイスだけに、ぜひ製品化して欲しいものだ。
価格次第だが、発売されたら筆者もぜひ1台! で、使ってみてよければ、九州の父へもスマホと一緒に。
来年80歳になり運転が心配な父だが、田舎はクルマなしで生活ができない。
父のみならず、田舎の年配者に運転支援デバイスは、もはや必須かもしれない。
【参考・画像】
※ Pyrenee Drive Screen -運転支援デバイス – GUGEN
【動画】
※ Pyrenee Drive Screen – Vimeo