スポーツ界とドローン「活用」と「事故」の狭間に見えるもの

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2016年01月05日 18:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

「ドローンは現代人の暮らしを豊かにしているのか?」

確かに、ドローンという文明の利器は素晴らしい可能性を秘めている。日本でも、いよいよ始まるという『ドローン宅配』や不審者を即座に特定する『ドローン警備』、そして手軽な空撮。

だが“夢の道具”であるはずのドローンの登場が、世界のスポーツ関係者を苦悩させているのも、また事実だ。

スポーツの世界で、ドローンをどう活かすのか。時代の波が、思わぬ形で到来している。

衝撃のドローン墜落事故

先日、イタリアで開催されたアルペンスキーワールドカップにおいて、驚愕すべき事故が発生した。

スキー男子回転の競技中、撮影用ドローンがフィールドの只中に墜落したのだ。この時競技を行っていたのは、ソチオリンピック銀メダリストのマルセル・ヒルシャー(オーストリア)。

衝撃の映像が、ここにある。


動画を別画面で再生する

ドローンはヒルシャーのすぐ背後に落下し、粉々に砕け散った。もしヒルシャーのタイムが若干遅かったら、墜落の巻き添えを食らっていたに違いない。

このドローンを飛ばしていたのは、テレビ局から業務委託を受けた業者である。要するに“ドローンのプロ”だ。にもかかわらず、こうした不祥事を起こしてしまった。

国際スキー連盟はこの事故を受け、「ドローンの安全性が確立されるまで」会場での飛行を禁止する措置を取った。

否定できない落下の危険性

スポーツは、観る者の興奮を喚び起こす。選手が躍動するダイナミックな映像は、テレビ局が常に欲しているシーンだ。

野球やサッカー、ラグビーなどの球技、そしてスキーやモーターレースのような、コンマ数秒を競う種目は、上空からの映像を眺めることで、より一層の面白みが得られる。サーフィンやスノーボードなど、競技としてだけでなく一種の“芸術”としてそのパフォーマンスを楽しむことができるスポーツも同様だ。

プレイヤーがどのように動いているかを、一目で確認することができるからだ。

だが、ドローンというものが、まだまだ墜落の可能性が否めない物である以上、操縦者が誰かということにかかわらず危険が伴う。

2015年9月に開催された、テニス全米オープンでも、客席にドローンが落下するということがあった。それを飛ばしていたのは、心ない観客である。


動画を別画面で再生する

選手からして見れば、迷惑以外の何ものでもない。

ドローンという存在のせいで、パフォーマンス低下を招いてしまうとしたら、国際スキー連盟のように「ドローンの安全性が確立されるまで使用禁止」という決定を下すしかない。

活用への道

だが、それでも、ドローンをスポーツ発展のために活用しようという動きもある。

ラグビー日本代表チームは、あの“奇跡”と謳われるワールドカップでの活躍の前からドローンを利用していた。ポジショニングが重要な鍵を握るラグビーにおいて、上空からの撮影動画は戦略を練るための重要なヒントになる。

操縦を誤れば、危険な落下物と化してしまうドローンだが、それでもこれがスポーツに与えるプラス作用は未知数であり、計り知れない。

スポーツ関係者は今こそ一丸となり、ドローンの活用性を研究するべきではないのか。

それが、ドローンの安全性の確立にもつながるはずだ。

【参考・動画】

ラグビー日本代表、練習にドローン導入 空撮で動き確認 – 朝日新聞

※ Drone Crashes During World Cup Race in Italy – YouTube

※ Watch a Drone Crash into the Stands at U.S. Open – YouTube

【画像】

※ DREAMNIKON / PIXTA

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