素晴らしいような、恐ろしいような研究が成果を出し始めている。
なんと、頭で思い浮かべた言葉を、脳波から解読できてしまうと言うのだ。
いろいろと応用が期待される素晴らしい技術ではある。
一方、これまでは黙っていればバレなかったことも、思っただけで筒抜けになってしまう時代がくるのかもしれないのだ。まるで、オダギリジョーが主演したドラマ『サトラレ』のような世界だ。
しかし、上記のような心配している人は、よからぬ事を考えている人かも知れない。
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思い浮かべた言葉が脳波で分かる!
思った言葉を脳波から解読することに成功したのは、九州工業大情報工学部の山崎敏正教授(58)の研究グループだ。
成功したとは言っても、まだ単純な言葉を解読できた段階であり、今回は“ぐー”、“ちょき”、“ぱー”といった選択肢が絞られた言葉を、脳波から解読できた。
これらの言葉を声にして発生したときと、黙って思い浮かべただけのときとで、脳波に一致する波形が見つかったのだ。
また、この波形による識別は、五十音の一部でも識別できたため、全ての音に関する波形の分析が進めば、将来的にはあらゆる単語や文章を、脳波から解読することができる様になるという。
この研究が進めば、どのような応用が考えられるだろうか。
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最も期待されているのは、言葉を話せない障害を持った人との意思疎通だろう。もしかすると、寝たきりになって意識が戻らないと考えられていた人たちが、実は何かを訴えていた、ということも分かるかも知れない。
また、音が伝えられない宇宙空間や、水中での意思疎通にも利用できると考えられているが、こちらは既に電波で通信する方法で実現はできている。
思ったことが全て伝わってしまっては、却ってノイズが多くなるので、マイクと電波による通信の方が、今のところ良さそうだ。
もう一つ期待されているのは、人間同士のコミュニケーションではなく、ロボットなどへの命令に使えないだろうか、という応用だ。
すなわち、操縦桿を操作しなくても、頭の中で思っただけでロボットなどを操作するということだ。この段階になると、大分SFっぽくなる。
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しかし、操縦桿で操作する以上に、邪念を排除して集中せねばならないような気がして、却って操作が難しくなる様な気もするが、いかがだろうか。
日本語が研究を有利にする?
今回の研究は、前頭葉にある言語を司る領域である、ブローカ野に注目することで進められた。
このブローカ野は、何か言葉を発しようとすると、実際に発生する直前に『運動準備電位』を発して脳波を変化させていたのだ。
それで、この脳波を調べる事で、言葉を思っただけでも解読できることが分かった。
実験では“ぐー”、“ちょき”、“ぱー”以外でも、“春”、“夏”、“秋”、“冬”でも同様の成果を確認している。
研究グループの山崎教授によれば、日本語は英語などに比べて母音が少ない分、解析が容易なため、この研究では却って有利なのだという。
そのため、思った言葉を脳波から解読する研究では、日本が世界をリードできる可能性があると語っている。
正直に、清らかな心で生きなければ、恥をかく時代が来るのやも。
【参考・画像】
※ 頭の中の言葉 解読 障害者と意思疎通、ロボット操作も 九工大・山崎教授ら – 西日本新聞
※ EKS / Shutterstock