26歳息子が家族に「暴行」「窃盗」ーー「もう我慢できない」家族は何ができる?

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2016年01月11日 09:51  弁護士ドットコム

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未成年ならともかく、成人した子どもの問題行為に対して、親はどう対応するべきなのだろうか。「26歳の息子が、私の無断で(自宅に)入って、車のキーや通帳、クレジットカードを盗みました。被害届を出した方がいいのか考えています」。そんな母親の悩みが、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。


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息子の問題行為は、窃盗だけではない。「気に入らないと、キレて暴れたりします。何度も壁に穴をあけたり、家具をひっくり返して下の子供が下敷きになった事もあります」。



母親が部屋に鍵をつけても、鍵をこじあけ、侵入して窃盗をはたらくようだ。「もう我慢が出来ません」という家族は、何ができるのだろうか? 長瀬佑志弁護士に聞いた。



●窃盗の刑事責任は追及できないが・・・


「警察に被害届を提出することは可能です。もっとも、親子間や同居の親族間での窃盗の場合、親族間の犯罪に関する特例(刑法244条)が適用され、犯罪ではあるものの、刑罰は科さないということになります。



したがって、被害届を警察に提出することは可能ですが、家族間で解決するよう促され、被害届が受理されないことが予想されます」



強制的に弁償させる方法はないのだろうか?



「刑事責任を追及することは難しいですが、息子に対する民事責任の追及は別の問題です。


家族であっても結局は他人ですから、息子の窃盗等に対し、不法行為責任に基づく損害賠償請求を行うことは可能です」



相談者は、息子の暴力にも悩まされているようだ。実の息子であっても、立ち入り禁止にすることはできるのだろうか?



「その場合には、民事手続と刑事手続の2つが考えられます。



民事手続として、穏当な方法としては、裁判所に対し、親族間の紛争に関する調停を申し立てる方法があります。もっとも、調停はあくまでも、話し合いによる合意ができなければ成立しません。



また、緊急性が高い場合には、裁判所に対し、息子の接近禁止等の仮処分命令を申し立てる方法があります。



一方、刑事手続として、息子から脅かされたり、暴力を振るわれたりした場合には、脅迫、傷害事件等として告訴することが考えられます。



この場合、警察に対応してもらいやすくするよう、被害状況を写真でとるほか、病院を受診し診断書を作成してもらい、証拠を残しておくようにしておくとよいでしょう」



長瀬弁護士はこのように指摘した。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人長瀬総合法律事務所 代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)
「ノンストップ!」、「ZIP」、女性セブン、週刊ポスト等メディアに出演。
年間100件以上の離婚関連の相談を担当するほか、夫婦カウンセラーの資格を取得し、精神的サポートも心掛けている。
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所
事務所URL:http://nagasesogo.com/


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