「産地:火星」。
そんなジャガイモが登場しそうだ。
宇宙ステーションでは既に、ロメインレタスの栽培に成功しており、日本実験棟の『きぼう』ではシロイヌナズナを咲かせることにも成功している。
そして、現在ヒャクニチソウの開花実験を行っており、その先にはトマトの栽培も視野に入れている。
しかし、これらはいずれも宇宙ステーションでのお話しだ。
|
|
ところがNASAは、いよいよ他の惑星の大地で、農作物の栽培をすべく準備を始めている。
それが火星でのジャガイモ栽培だ。
2月5日に公開予定の映画『オデッセイ』で、火星に残された主人公が挑戦するジャガイモの栽培には、NASAの裏付けがあったのだ。
火星の環境を作り、ジャガイモを育てる
NASAと国際ジャガイモセンター(International Potato Centre:CIP)は、地球上で火星の環境を再現した施設で、原始的な種類のジャガイモを栽培する実験を開始しようとしている。
目標は、火星にドーム型の栽培施設を建設して、そこで農作物を栽培しようというものだ。
|
|
研究チームは、ペルーのPampas de La Joya砂漠の土壌を利用して、火星の大気を再現した環境を作り出して実験を行う。
火星の環境で農作物が育つのか? との疑問を抱くが、CIPによれば、むしろ火星の濃い二酸化炭素(大気の約95%)は、ジャガイモの収穫量を2〜4倍にするのだと言う。
この実験が成功すれば、研究チームはより火星の環境に近いシミュレーション・センターを地球上に建設し、さらなる実験を重ねる計画を持っている。
そして、火星だけでは無く、他の惑星も視野に入れた宇宙農業を開拓しよとしているのだ。
ジャガイモが地球の食料危機を救う?
しかも、このプロジェクトにはもう一つの目的がある。地球上での食料安全保証への備えだ。
|
|
つまり、火星のような過酷な環境で、食料を確保する方法が確立されれば、地球上で起きるかも知れない気候変動による、食糧難への対応に役立てることができるのではないかと考えているのだ。
最古の栽培記録は、紀元前2,500年頃まで遡るとされているジャガイモが、未来の宇宙開発と地球の食糧難を救うかもしれない。
【参考・画像】
※ NASA-led team wants to grow potatoes on Mars
※ Keiju / PIXTA