花粉症治療の選択肢が拡大〜新しくなった「鼻アレルギー診療ガイドライン」

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2016年01月14日 14:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

通年性と季節性の2種類があるアレルギー性鼻炎

 年が明け、花粉症の人にとってはつらいシーズンが始まります。こうしたアレルギー性鼻炎患者の診断・治療に当たる医師向けに「2016年版鼻アレルギー診療ガイドライン」がこのほど公表されました。そこでこのガイドラインを基に、アレルギー性鼻炎とは何か、その診断・治療や今後の備え方などをご紹介します。

 まず、アレルギー性鼻炎は、何らかの物質に対する過敏性があり、この原因物質(アレルゲン)が鼻の粘膜で、免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる抗体と反応すると、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、その結果として発作性反復性のくしゃみ、鼻水が垂れてくる鼻漏、鼻がつまる鼻閉の3つの主な症状が起きるものです。

 アレルギー性鼻炎は通年性と季節性の2種類があります。2つの違いは主にアレルゲンの違いによるもので、通年性ではハウスダスト(いわゆるホコリ)やダニ、季節性ではスギ花粉がよく知られています。一部の調査では日本国内で、こうしたアレルギー性鼻炎の患者は、おおよそ4人に1人はいるとされています。

有力な治療選択肢の1つとして注目される舌下免疫療法

 実際の治療では、通年性アレルギー性鼻炎と花粉症では対応が異なります。ただ、両方とも基本として自分にとってアレルゲンとなっている物質をなるべく避けるために、こまめな掃除など日常生活での工夫を行うことは共通しています。


 通年性アレルギー性鼻炎、花粉症のいずれの場合でも使用される主な薬剤は、(1)第二世代抗ヒスタミン薬、(2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬、(3)ロイコトリエン受容体拮抗薬、(4)プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬、(5)Th2サイトカイン阻害薬、(6)鼻噴霧用ステロイド薬、(7)第二世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤、などです。

 これらの薬剤で最も使われる第2世代抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬は従来から服用後に眠気などの副作用が発生しやすいことが知られています。第1世代と呼ばれる初期に発売された抗ヒスタミン薬では特にこの問題が指摘され、この点が改善されたものが第2世代抗ヒスタミン薬ですが、それでも眠気の副作用はあります。実際、第2世代抗ヒスタミン薬でも多くの薬剤の添付文書で「自動車の運転等危険な機械の操作に注意させること」あるいは「自動車の運転等危険な機械の操作に従事させないこと」と記載されており、患者自身も十分に注意が必要です。なお、第2世代抗ヒスタミン薬の中でも臨床試験時に眠気の副作用が少なかったフェキソフェナジン、ロラタジンにはこうした記載がありません。

 一方、これまで説明した薬剤は、いずれも症状を抑える対症療法の薬剤で、通年性アレルギー性鼻炎や花粉症を根本的に治すものではありません。そこで注目されているのが、最近国内でも始まった舌下免疫療法です。これはアレルゲンとなっている物質が含まれるエキスや錠剤を舌の下に1〜2分間とどめておいてから飲み込むことで、アレルゲンに体を慣らしていくというものです。

 現在対応可能なアレルゲンはスギ花粉とダニの2種類、治療期間は3〜5年と長く、場合によってはアナフィラキシーと呼ばれる生命を左右する重篤なショック症状などが起こり得るため、十分な経験を積んだ医師のもとでしかこの治療は行えませんが、継続治療が可能な場合は有力な治療選択肢の1つとして注目されています。(村上和巳)

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