車の低燃費化競争はぎりぎりの技術競争になっている。同じ排気量や車体サイズであれば、車体の僅かな軽量化が決め手となるだろう。
そのため、自動車各社は様々な工夫をしてきているが、まだ手を付けていない部分があった。
窓ガラスだ。
ガラスというものはかなり重量がある。そして、車には窓が多くガラス部分が多い。
これを軽量化できれば、さらなる燃費改善に役立つのだが……。
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窓ガラスの重量を半分にする樹脂ガラス
実は、自動車業界では、窓ガラスを軽量化したいというニーズは以前からあった。
そこで検討されていたのは、ガラスの約半分の重量になる“プラスチック”に変えたいということだった。
しかし、プラスチックには、ガラスほどの耐候性や耐摩耗性が無いため、太陽光線などで劣化したり、傷が付きやすいという欠点があった。
そのため、未だに重たいガラスを使っているのだ。
しかし、ようやく窓をプラスチックに変えるときが来たようだ。
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大日本印刷株式会社(DNP)は、2016年2月から、従来のプラスチックの欠点を克服した、耐候性と耐摩耗性に優れた樹脂ガラスを販売開始する。
この樹脂ガラスは、耐候性と耐摩耗性の他に、紫外線による劣化も抑えることが可能になっている。
従来の樹脂の欠点を克服した技術
この樹脂ガラスは、ポリカーボネートなどのプラスチック製の有機ガラスに『DNP超耐候ハードコート転写フィルム』を転写することで、優れた耐候性と耐摩耗性を備え、紫外線の劣化を防ぐことを実現した。
そして、自動車メーカーが待望していた、ガラスの約半分の重量という軽量化を実現できる。
また、透明度はガラスと同等でありながら、加工が容易で製造工程での、CO2排出量も削減出来る。
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しかも、耐衝撃性が強いため割れにくく、安全性も高いのだ。
もちろん、自動車の窓に耐えうる製品であると同時に、電車や建設機械の窓にも利用できる。船舶にも使えるのではないだろうか。
DNPは、この樹脂ガラスを自動車だけでなく、電車や建設機械など用に販売する事で、2017年までには累計10億円の売上を目指しているという。
なお、東京ビッグサイトで本日まで開催されている『オートモーティブワールド クルマの軽量化技術展』でも出展されるなど、今まさに注目すべき製品のひとつだ。
車はもっと、低燃費になれる。
【参考・画像】
※ 大日本印刷、耐候性・耐摩耗性に優れた車両用樹脂ガラスを発売 – 日経プレスリリース
※ Rita Kochmarjova / Shutterstock