オフィスで古紙を再生するエコな製紙機『PaperLab(ペーパーラボ)』を発表し話題を呼んだばかりのエプソンから、更にビジネス向けのインクジェットプリンタ3機種が発表された。
A4カラー複合機『EW-M660FT』、A4モノクロ複合機『PX-M160T』、A4モノクロプリンタ『PX-S160T』だ。
環境に配慮したコンセプト
今回の3製品は、これまでのインクジェットプリンタで採用されていたインクカートリッジは廃止。その代わり、本体にインクタンクを搭載し、インクがなくなったらユーザーが自分でインクを充填していく仕組だ。製品購入時に付属するインクは、2年分となっている。
これにより、大幅なコストダウンを実現。『EW-M660FT』の1枚あたりの印刷コストは、A4カラーで約0.8円、A4モノクロで約0.4円。従来のインクジェットプリンタは、A4カラーが約13.5円、A4モノクロが約4.1円。かなり大幅なランニングコスト削減を実現している。
このエコタンク方式は、ランニングコストの削減を実現しているだけではない。インクカートリッジの回収・再利用といった面を省くことができる。
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つまり、“環境に優しいコンセプト”となっているのだ。
ユーザーがインクを自分で充填
これまで、非公式ながら、インクカートリッジにインクを充填するキットなども発売されていたが、メーカー公認のものではなかったため、インクの色味が若干異なったり、カートリッジへの充填が煩雑というデメリットがあった。
また、インク漏れによりプリンタ本体が損傷してしまうこともあり、あくまでも自己責任で行うものだった。
今回のエコタンク搭載プリンタの発売は、初めからカートリッジを廃止し、インクをタンクに直接充填する方式を採用することで、価格面だけでなくインク交換の手間も低減しており、かなり画期的な製品と言える。
消耗品ビジネスの終焉
このエコタンク搭載プリンタが登場したことで、今までのインクジェットプリンタビジネスが大きく変わるかもしれない。
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これまでのインクジェットプリンタは、本体は低価格なものの、インクカートリッジが高価だった。つまり、本体よりもインクで儲ける消耗品ビジネスだ。
しかし、エプソンは消耗品ビジネスをやめた、ということになる。できるだけインクを安く提供することで、より多くのユーザーにエプソンのプリンタを末永く使ってもらう。そういう方向性にシフトしたということなのだろう。
今後、このようなインク充填型のプリンタが主流になっていくのだろうか。そうなると、各メーカーともプリンタビジネスを変えていかざるを得ないだろう。
サードパーティのインクメーカーが登場?
プリンタメーカーは、プリンタ本体でのビジネスモデルに変える必要が生じる。具体的には、本体で利益を得なければならなくなる。これまでに以上に、魅力的な製品開発をしなければならなくなるだろう。一方で、多少プリンタ本体が高価になるはずだ。
そしてインク。もちろんメーカー純正品がメインとなるはずだが、インクの充填が簡単に行えるようになったことで、サードパーティのインクも続々と登場してくるだろう。
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もしかしたら、エコインク搭載プリンタの登場により、これからはサードパーティのインクメーカーが増えていくかもしれない。
プリンタメーカーがインクによりユーザーを囲い込むビジネスから、プリンタメーカーとインクメーカーが並び立つビジネスへ。
2016年は、プリンタビジネスが大きく変わる年になる予感がする。
【参考・画像】
※ エプソン
※ dextroza / Shutterstock
【動画】
※ 120670535819 – YouTube