大手新聞社勤務だろうと、しがないフリーランスだろうと、ジャーナリストならば誰しもがICレコーダーのお世話になっているはずだ。
逆に、ジャーナリスト以外の職業の人にとって、この道具はあまり触れる機会はないかもしれない。せいぜい会議の内容を録音する時に使用する程度か。
だが、最近のICレコーダーの高性能を知れば、きっとあなたもその魅力に取り憑かれてしまうかもしれない。
大幅に改善されたレコーダーの実用性
昔のレコーダーといえば、別売りの外付けマイクを買わないと実用に耐えないようなものだった。
本体に内蔵のマイクは、はっきり言ってオマケである。それだけで録音をすると、いわゆる“空気録音”という雑音だらけのものになってしまう。
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だが今のレコーダーは、そうした点がすっかり改良されている。記録媒体が、カセットテープからフラッシュメモリになってサイズダウンしたという点も大きいが、議事録を作るだけなら、外付けマイクを買う必要がないほど集音性能自体も向上した。
だから、今のジャーナリストはマイク代わりにICレコーダーを使う。たとえば官邸から出てきた総理大臣の話を収録するために、レコーダーをそのまま向ける。
データのアウトプットも簡単だ。今のレコーダーは、USB接続部が常備されているのが普通である。
「それならば、スマートフォンの録音アプリで代用できるんじゃないか?」
そういう声もあるだろう。だが、スマホとレコーダーとでは、マイクの性能が格段に違う。スマホでは先述の“空気録音”が発生してしまう可能性がある。
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やはり、ICレコーダーはジャーナリストの必需品なのだ。
嬉しい頭切れの防止機能
そんな中、オリンパスが今月中にこのような新製品を発売するようだ。
『Voice-Trek DM-720』は、議事録作成に特化したICレコーダーである。
音源からの文字起こしというのは、特にそれが講演会でのものになると、“頭切れ”という現象がしばしば発生する。例えば「会場にお越しの皆さん、こんにちわ」という冒頭の部分が「……さん、こんにちわ」になってしまうというものだ。ジャーナリストなら、誰しもが経験したことのある現象だろう。
『Voice-Trek DM-720』はそれを防止するため、こちらが特に操作しなくても3秒前からの録音を始めてくれる機能を備えている。
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また、人間の声だけを聞き取る機能もあり、無音の収録部分は自動的にカットしてくれるという。
値段はまだ確定していないが、税抜きで1万3,000円程度になるそうだ。
ICレコーダーの分野では高級機に該当する価格だが、より質の高い記事の執筆を目指すジャーナリストにとって、この製品はかけがえのない戦友になるだろう。
【参考・画像】
※ オリンパス、「文字起こし」モードを搭載したICレコーダー「Voice-Trek DM-720」 – 価格ドットコム
※ すしぱく / PAKUTASO