日本では、高齢者が詐欺に巻き込まれるケースが多発。
『平成25年版高齢社会白書』によると、2012年に国内で認知された振り込め詐欺6,348件のうち、60歳以上の高齢者が被害に遭った割合は8割を超えている。
残念ながら、米国でも、同様の課題を抱えている。
調査レポート『The True Link Report on Elder Financial Abuse 2015』では、「米国の高齢者が、金銭の搾取や詐欺などの経済的虐待で、1年間に364.8億ドル(約4兆3,000億円)もの被害を受けている」と分析している。
高齢者のためのプリペイド型決済サービス
米サンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業『True Link Financial(トゥルー・リンク・フィナンシャル)』は、利用金額を預金口座からすぐに引き落とす“即時決済型取引”を応用した、高齢者向け決済サービス『True Link Card』を2013年から展開してきた。
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『True Link Card』は、月額10ドルの利用料で、国際カードブランドのひとつ『Visaプリペイドカード』を高齢者に発行。
名義人である高齢者は、事前に入金された金額を限度に、買い物や食事などで利用したり、ATMから現金を引き出したりすることができる。
「管理者」が高齢者のカード利用をコントロール
このサービスは、カードの名義人以外に、家族などの“管理者”を設定するのが特徴だ。
管理者は、ウェブサイトを通じて、名義人の利用履歴をモニタリングしたり、利用条件や利用限度額を制御する権限を持つ。
『True Link Financial』が独自に開発したアルゴリズムによって、一日あたりの利用金額を制限したり、通信販売や雑誌の定期購読料、チャリティへの寄付など、特定の支払を禁じたり、疑わしい請求内容を、管理者にメールで通知させることができるという。
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しかしながら、たとえ親子や家族といえども、成人が所有する財産の利用を他者が制限するという行為は、極めてデリケートなこと。
『True Link Financial』では、『True Link Card』の利用に先立ち、名義人となる高齢者と十分に話し合い、このサービスを利用する趣旨を正しく理解させることが肝要だと説いている。
高齢者が安心かつ自立的に生活するためのマネー管理手段とは?
『True Link Card』は、高齢者の自立的な生活を尊重しつつ、様々なリスクから高齢者とその財産を保護できる、安価で合理的なサービスとして、米国内外で注目されている。
高齢化が進む日本でも、高齢者の安心かつ自立的な生活をサポートするマネー管理の仕組みやサービスは、ますますニーズが高まりそうだ。
【参考・画像】
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※ 平成25年版高齢社会白書 – 内閣府
※ The True Link Report on Elder Financial Abuse 2015 – The True Link Financial