医療の現場を支える「ウェアラブルチェア」が、より確かな手術を支える

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2016年01月23日 11:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

手術の成功は、医師の体幹の安定性にかかっている……。

手術中の医師は、その手先の動きの正確さを保つために、長時間の中腰姿勢に耐えねばならない。

もし、へたって体幹が不安定になれば、それは手先の動きも不安定にさせ、手術の正確さに影響を与えてしまうだろう。

そこで、町工場と大学などが協力して開発したのが『ウェアラブルチェア』なるものだった。

いったい、どのようなものだろうか。

医療現場の筋肉疲労を支えるウェアラブルチェア

ウェアラブルチェア『archelis(アルケリス)』は、金型製作を行う町工場の株式会社ニットー(神奈川県横浜市)と千葉大学フロンティア医工学センター、そして様々な分野のデザインを手がける西村拓紀デザイン株式会社、医療器具を開発する日本高分子技研株式会社の協力によって開発された。


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『archelis』の開発目的は、医療現場での手術において、医療スタッフが長時間中腰の姿勢でいることを必要とされた際に、手術を安定させるために体幹を安定させることだ。

長時間の中腰姿勢と移動を繰り返すことは、医療スタッフの筋肉に大きな負担がかかる。

そのため、長時間の手術になるほど、筋肉疲労により体幹が不安定になってしまうのだ。

体幹が不安定になれば、それは手術の正確さに影響を及ぼしてしまう。

そこで、歩き安さを損なわずに中腰時の筋肉負担を減らすために、足に装着するウェアラブルな椅子が開発された。

つまり、身に付けて歩ける椅子『archelis』だ。

『archelis』を装着することで、膝と足首の確度が固定され、脛(すね)と大腿部にかかる体重を広い面積で支えることができる。

その結果、長時間の中腰姿勢でも、筋肉の疲労が軽減されるのだ。

開発チームの様々な強みが活かされた成果

また、『archelis』は片足ずつ独立した装着であるため、自由に動き回ることを邪魔しない設計になっている。エルゴノミクスデザインが採用されることで、足へのフィット感も快適になるように工夫されている。

そしてもう一つ重要な事は、『archelis』は動力を必要としていないことだ。

あくまで姿勢を支えることに特化していることで、動力を必要としない機構になっている。

このことは『archelis』をコードレスにすることで、慎重さが要求される手術室での運用性を高めている。

これらの特徴は、開発に協力したチームが持つ医療現場のニーズ、町工場の加工技術、高度なデザイン技術、医工学的定量評価が活かされた成果だ。

『archelis』の製品化は、2016年の夏頃が目指されている。

ウェアラブルチェアが、手術の精度向上に貢献することを期待したい。

【参考・画像】

※ ウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」を共同開発 – @Press

※ ウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」

【動画】

※ Wearable Chair”archelis” / ウェアラブルチェア「アルケリス」 – YouTube

このニュースに関するつぶやき

  • 何処の診療科で何の術式の時に使うんだろう?興味津々。
    • イイネ!1
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