二酸化炭素排出量の削減や資源の有効活用といった観点から、廃棄物の処理方法は、従来の焼却や埋立にとどまらず、原料として再利用する“マテリアルリサイクル”や、焼却の際に発生する熱エネルギーを利用する“サーマルリサイクル”など、様々なものが実用化されている。
一方、廃棄物の回収や運搬は、旧態依然としているのが現状。
排出量の多少にかかわらず、固定的なルートとスケジュールに基づくものがほとんどで、マニュアル作業も少なくなく、決して効率的とはいえない。
ゴミ箱への廃棄量をモニタリングし、最適な回収ルートを自動生成
フィンランド南部エスポー(Espoo)を拠点とするスタートアップ企業Enevo(エネーヴォ)は、2010年の創設以来、次世代型廃棄物回収システムの開発に取り組んできた。
その代表的なシステムソリューションが『Enevo ONe(エネーヴォ・ワン)』だ。
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『Enevo ONe』は、廃棄物の収集コンテナや回収場所に小型の無線センサネットワークを設置し、各スポットの廃棄物量を常時モニタリング。
『Enevo』のサーバーでは、センサネットワークから転送されるデータを分析し、車両の空き状況や道路状況をなど考慮した、最適な回収ルートとスケジュールを自動的に生成する。
これらのルートやスケジュールは、タブレット端末対応アプリを介して、各車両に配信される仕組みだ。
IoTとビッグデータ分析で廃棄物回収を効率化
『Enevo ONe』の特徴は、IoT(モノのインターネット・Internet of Things)とビッグデータ分析を組み合わせ、廃棄物の回収や運搬を、従来の固定的で非効率なものから、フレキシブルなオンデマンド型のオペレーションへと変えている点。
『Enevo ONe』を導入することで、廃棄物の回収や運搬にかかる費用を、最大50%程度、節約できるいう。
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フィンランド発のスマートシステムが、いよいよ世界へ本格進出
『Enevo』は、2015年、サンフランシスコ、ロンドン、東京にオフィスを新設し、北米やアジアにも本格的に進出。
これまでに、フィンランド、チェコスロバキア、米国など、35カ国にわたり、4億3,400万カ所の収集コンテナや回収場所に専用センサーを設置している。
廃棄物の回収や運搬の効率化は、世界各地が抱える課題であり、時間やお金といったリソース面のみならず、地球環境や社会インフラにも、少なからず影響を及ぼす。
テクノロジーを効果的に活用した『Enevo』の取り組みは、廃棄物の回収や運搬のイノベーションとして、今後も、注目を集めそうだ。
【画像・参考】
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※ Enevo
※ Enevo in 2015 – Enevo