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宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko 1998年デビュー組を繋ぐ文脈とは?

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2016年01月26日 12:22  BOOK STAND

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写真『1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)』宇野維正 新潮社
『1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)』宇野維正 新潮社
 4月4日からはじまるNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌を書き下ろすことを発表した宇多田ヒカルさん。2010年8月に事実上の活動休止を発表して以来の本格的な活動再開とあって、その楽曲と今後の音楽活動に大きな注目が集まっています。

 そんな宇多田さんがデビュー・シングル「Automatic / time will tell」でメジャー・デビューしたのは、1998年12月9日ですが、この1998年という年、日本人は史上最もたくさんCDを買ったのだといいます。

 その年の総生産枚数は4億5717万3000枚、総売り上げ金額は5878億7800万円(ちなみに2014年の総生産枚数は1億7038万3000枚、金額は1840億8800万円)にものぼり、平均すると1人あたり月に2枚のCDを購入、年間3万円近くのお金をCDの購入に当てていたことになります。

 日本の音楽業界が空前の活況を呈していた1998年。この特別な年には、宇多田さんの他にも、5月27日に椎名林檎さんが「幸福論」で、7月17日にaikoさんが「あした」でメジャー・デビューを果たしています。

 本書『1998年の宇多田ヒカル』の著者であり、20年間に渡り音楽業界に関わっている宇野維正さんは、この3人を「グループ/バンド/ソロを問わず、性別を問わず、日本の音楽シーンにおけるトップ3の才能」(本書より)だと位置づけます。

 本書では、なぜ彼女たちが日本の音楽シーンにおけるトップ3なのか、彼女たちの活動の軌跡を辿りながら、それぞれの資質を分析したうえで、3人の関係性、影響関係にも言及。その際、宇野さん自身が彼女たちに行ったインタビューを交えながら考察を展開していきます。そして音楽を取り巻く環境が激変し、CDの時代が終わった現在の状況、これからの日本の音楽シーンの展望についても触れられていきます。しかしその展望は決して明るいものではありません。

 実際、自己プロデュース能力に長けた彼女たちでさえ、椎名林檎さんは"CDはもうダメでしょ"といい、aikoさんは"この何年かで音楽を一生続けることって難しいんじゃないか、いつかは終わりも来るんじゃないかということをどこかで考えるようになったんです"と述べています。そうした中で、残る1人、宇多田ヒカルの今回の復活は、日本のポップ・ミュージックの終焉を決定づけるものとなってしまうのでしょうか。

「音楽ジャーナリズムの役割の一つは、音楽家自身も気がつかなかったことに言葉を与えて、音楽家自身が見落としていた文脈や繋がりを発見すること」(本書より)だという宇野さん。本書はまさに、宇多田ヒカルさん、椎名林檎さん、aikoさんという3者、そして浜崎あゆみさんをはじめとする同じ1998年デビュー組を繋ぐ文脈を提示すると同時に、CDの終焉という時代の文脈との交錯を描いた一冊となっています。



『1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)』
著者:宇野維正
出版社:新潮社
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