オフィス快適!ナノ技術を使った窓ガラスなら清掃コスト不要、しかも暖房コスト最大4割カット

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2016年01月27日 11:40  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

窓ガラスの掃除は手間がかかる。もともとが透明や半透明なだけに拭き跡や拭き残しが目立つからだ。もっとも、それだけにキレイになったときの爽快感は格別だが。

とはいえ、家の窓ガラスくらいならまだしも、高いビルの窓掃除となると、そう簡単ではなさそうだ。専門の業者がゴンドラを使うなどして、外から掃除したりする光景を見るが、ビルの管理側からすればその手間やコストを減らしたいと思うのは、当然だろう。

しかし、それが可能になるかもしれない。虫の目にヒントを得た新しい窓は、掃除の必要がなくなるというのだ。

高い撥水効果で汚れを落とす

これは、EPSRC(工学物理学研究会議)の支援を受けて、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームが開発した技術だ。

窓ガラスに使えば、セルフクリーニング効果、省エネ効果、防眩効果を発揮してくれるという。

まず、この窓は撥水姓が非常に高い。外側に当たった雨水は丸い水滴を維持し、汚れを除去しつつ簡単に転げ落ちていく。これは、ガラス表面に刻まれた円錐状の尖ったナノ構造のおかげだ。

この構造によって、水滴はわずかな部分しかガラス表面に接触できないため、強力な撥水効果を発揮するのだ。水滴がひっついて、ゆっくり跡を残しながら落ちていくような通常のガラスとは大きく異なる。

また、このガラスは、5〜10nmという非常に薄い二酸化バナジウムのコーティングが施されている。このコーティングは、寒い時期には温度が放射されて拡散してしまうのを防ぎ、温かさを保つ。

それでいて暑い時期には、太陽の赤外線が入ってくるのを防ぐ効果がある。これによって冷暖房の効果を高めてくれるのだ。

なお、二酸化バナジウムは豊富で安価な材料で。現在省エネ効果のために、よく窓に使われている銀/金系のコーティングなどよりも、低コストかつ環境持続性で優位にあるという。

そしてもうひとつ、このナノ構造は、光の反射を抑える特性も持っている。捕食者に狙われないように目を進化させた虫などと同様だ。

このおかげで、室内に反射される光は5%以下に抑えられるという。オフィスの窓に使えば、オフィスワーカーはより快適に過ごせるというわけだ。

オフィスビルのコストを低減

この技術は、ナノ構造と温度によって変化するコーティングを、初めて融合させたものだという。その結果、ナノ構造がコーティングの効果をさらに増幅させ、セルフクリーニング効果も実現している。

UCLのチームは、この窓が暖房コストを最大40%も減らすことができると見積もっている。また、通常の窓ガラスの場合、特に超高層ビルにおいては、その窓掃除の難しさのせいで、最初の5年間の窓掃除のコストだけで、すでに窓を取り付ける最初のコストに匹敵する金額がかかると、研究リーダーのIoannis Papakonstantinou博士は説明する。

この窓を使えば、その窓掃除の費用をカットできるのだ。

目下の課題は、このナノ構造と二酸化バナジウムを使った窓の製造をスケールアップすることだ。うまくいけば、3〜5年で実用化される見込みだという。

Papakonstantinou博士は、こういう。

<私たちは、このナノ構造を採り入れた“スマート・フィルム”も開発したいと思っています。しかも、DIYで家庭、オフィス、工場などの、従来からある窓に施工できるものをです。そうすれば、美観を損なうことなく、省エネ、低反射、そしてセルフクリーニングといったメリットを提供できるからです。>

ナノスケールの技術は現在さまざまなところで研究が進んでいる。その活用方法が多岐にわたっているのも特徴だ。

我々の未来は、目に見えないナノ構造のおかげで大きく進歩するかもしれない。

【参考・画像】

※ EPSRC

このニュースに関するつぶやき

  • 本物がこの記事通りの機能でもその数倍のパチ物がでまわるからなあ。こういう製品・・・
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