住民が「センサー」!? クラウドソーシング型の環境測定プロジェクトが進行中

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2016年01月29日 18:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

大気は、目に見えないが、地球環境はもちろん、私たちの健康や日常生活にも影響を及ぼす重大な要素のひとつ。

従来、各地域の大気の測定は、主に行政機関が担っており、私たちは、その測定結果を定期的に受け取ることに終始してきた。

センサー開発を通じて、環境モニタリングへの住民参画を推進

『Smart Citizen(スマート・シチズン)』は、大気や騒音レベルを誰でも簡単に測定できる小型センサーの開発・普及を通じて、環境モニタリングへ地域住民の参画を推進する国際的なプロジェクトだ。

スペイン・バルセロナの建築専門教育研究機関『IaaC(Institute for Advanced Architecture of Catalonia)』の傘下にある『FabLab Barcelona(ファブラボ・バルセロナ)』を中心に、インテルやシスコといったIT関連企業、英ダンディー大学(University of Dundee)やオランダの『Waag Society』をはじめとする学術研究機関などが参加している。

センサーの測定データをオンラインプラットフォームで公開

このプロジェクトは、温度、湿度、光強度、騒音レベル、大気汚染物質である一酸化炭素(CO)や二酸化窒素(NO2)を測定できる、安価な小型センサー『Smart Citizen Kit(スマート・シチズン・キット)』を開発したことで、注目を集めてきた。

『Smart Citizen Kit』は、ベランダや外壁など、屋外に設置して、周辺の大気や騒音の状態を測定し、WiFiを通じて、測定データをオンラインプラットフォーム『SmartCitizen.me』に転送する機能を装備。

『SmartCitizen.me』では、各地点の測定データがリアルタイムに公開され、誰でも閲覧できる。

オランダの首都アムステルダムでは、2014年、100台の『Smart Citizen Kit』を住民に配布し、周辺の大気や騒音の状態を、継続的に測定する実証実験が行われた。

測定精度が十分でないなど、技術面での課題は残ったものの、多くの住民が、生活環境の測定に参画する意欲や姿勢を持っていることが、明らかになったという。

住民が地域の環境モニタリングの「主役」に!?

『Smart Citizen』は、住民が自ら大気や騒音レベルを測定し、その結果を一元的に集約して、広く共有するための仕組みを整えている点が秀逸。

『Smart Citizen Kit』を広く普及させることができれば、従来よりも多くの地点で、大気汚染や騒音の状態を定期的に測定し、より多くのデータを収集することができるだろう。

また、大気汚染や騒音など、環境問題に対する住民の関心を喚起し、住民を中心に、行政、政治家、学者、研究者がよりよい環境づくりに向けて連携する、新たな関係構築への第一歩ともなりそうだ。

【参考・画像】

※ Smart Citizen

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