船の帆から着想!低コスト高パフォーマンスな「ブレードのない風力発電」とは?

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2016年02月07日 11:30  FUTURUS

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風力エネルギーは、“代表的な再生可能エネルギー”のひとつ。小規模分散型の電源であるため、従来の集中型電源に比べて、事故や災害など非常時の影響を軽減でき、送電コストが高くなりがちな、僻地の独立電源などにも活用しやすいのが利点だ。

しかしながら、風力発電機が発する騒音によって周辺住民が健康を害したり、多くの鳥が風力発電のブレードに衝突して死亡するなど、私たちの生活環境や生態系への影響が懸念されている。

船の帆から着想した、ブレードのない風力発電機

アフリカ北部チュニジアで2011年に創設された『Saphon Energy(サフォン・エナジー)』は、船の帆から着想を得た、ブレードのない風力発電機を開発したことで知られている。

いわずもがな、船は、帆が受ける風の運動エネルギーを力学的エネルギーに変換し、そのエネルギーを動力源として、航行している。

では、このメカニズムを風力発電に応用すると、どうなるのだろう。

『Saphon Energy』が開発した曲線状の大型ディスクが、風からの圧力や振動を最大限にとらえ、風に押されることで前後に振動。

この振動がピストンを動かし、風の運動エネルギーが力学的エネルギーに変換される。さらに、ピストンは油圧システムと連携しており、油圧によって、力学的エネルギーから電力に変わる仕組みだ。

この風力発電機は、騒音や低周波を発することなく、ブレードに鳥が巻き込まれることもない。

また、一般的なものに比べて約2倍のエネルギーを発電でき、製造コストを約50%軽減できるという利点もある。

マイクロソフトも支援

『Saphon Energy』の開発成果は高く評価され、2014年2月には、アフリカの経済発展を支援するイニシアチブ『4Afrika Initiative』を通じて、マイクロソフト(Microsoft)とパートナーシップ契約を締結。

『Saphon Energy』は、マイクロソフトからの資金援助や技術支援のもと、グローバル市場への進出に向けて、さらなる取り組みをすすめている。

新たなテクノロジーの活用で風力エネルギーのさらなる普及へ

認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)によると、日本の風力発電量は、2012年時点で、86万キロワット。

全発電量のうちのわずか0.44%にとどまっている。現状1%にも満ちていないのだ。

従来の風力発電ソリューションに加え、『Saphon Energy』のような、新たなテクノロジーや手法を積極的に活用することで、日本でも、風力エネルギーの活用をさらに推進することができそうだ。

【画像・参考】

※ Saphon Energy

※ Microsoft partners with Tunisian start-up; Saphon Energy at this year’s Global Entrepreneurship Summit (GES) – 4Afrika

※ 自然エネルギー白書 2014 – 認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所

このニュースに関するつぶやき

  • 文章では仕組みがよくわからんかったがいろんな方式の発電方法はありがたい。手段が分散することは安定につながるだろうしね。ただ、振動させるってことは騒音や低周波がでるのでは?
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