地球温暖化を救うかも!? 「空気からエタノール」を生む鍵とは

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2016年02月18日 22:00  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

“温室効果ガスの排出”。この逆の反応が簡単にできさえすれば、地球温暖化の問題は簡単に解決するのかもしれない。

化石燃料は、燃焼することでおもに“二酸化炭素”と“水”になる。その二酸化炭素と水を反応させて、燃料の主成分である“炭化水素”を作ることは、昔から可能ではあった。ただし、それには大きなエネルギーが必要なのだ。

南カリフォルニア大学(USC)の研究チームが、空気中の二酸化炭素を“メタノール”に変換する新しい技術を発表した。そのキーポイントは、従来よりもかなり低い温度でその反応を可能にしたという点だ。

二酸化炭素の79%をエタノールに変換

USCの研究チームが実現したのは、温室効果ガスである「二酸化炭素から、メタノールを作り出すこと」だ。メタノールは、内燃機関に使った場合はクリーンな燃焼を実現し、話題のFCVで認知が広まりつつある“燃料電池(フューエルセル)”の燃料として使うこともでき、さまざまな石油化学製品の原料になる。

筆者は化学の専門家ではないため、表現が正しくないところがあったらご容赦願いたいが、研究チームは、ペンタエチレンエキサミン(PEHA)の水溶液の中で空気を泡状にし、圧力をかけた状態で水素が二酸化炭素と化合することを促進するための触媒を加える。それを加熱することで、79%の二酸化炭素をエタノールに変換することができたという。

なお、エタノールは水と混ざった状態で発生することになるが、研究リーダーのひとりPrakash教授によれば、そこから蒸留して取り出すことは簡単にできるそうだ。

この手法は、12月29日に出版された『Journal of the American Chemical Society』に掲載された。研究リーダーのG.K. Surya Prakash氏とGeorge Olah氏は、「5〜10年の間にこの手法が産業レベルで活用できるところまでスケールアップできるように改善していきたい」という。

200度以下の低温度で反応させる

二酸化炭素から燃料を作り出すプロセスは、従来から存在したが、それは何段階もの手間がかかり、しかも高濃度の二酸化炭素と高温が必要だった。それでは、再生可能エネルギーとして十分な役割を果たすことはできない。

この新しい手法は、摂氏125〜165度で可能だ。これは、触媒の劣化を最小限に抑えることができるという大きな意味を持つ。触媒の劣化は155度から始まるからだ。また、この手法は均質触媒を使用して、1箇所における1回の反応でメタノールの生成を可能にする。これまでの手法より低い温度で、しかも少ないプロセスでエタノールの生成が可能なのだ。

以前、FUTURUSで紹介したアウディの施設では、自然エネルギーを使って二酸化炭素から燃料を作り出していた。しかし、それは複数のプロセスが必要で、より高温下での反応を利用したものだった。

今回のエタノール生成技術のような研究が進んでいけば、空気中の二酸化炭素を再利用する燃料リサイクルが、可能になるのかもしれない。

【参考・画像】

※ USC News

このニュースに関するつぶやき

  • 化学の出でもいまいちわかってないが、効率的な方法がとれれば(不安定で爆発の危険が高い)水素エネルギーの代替えにもなる。
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