会話中、「この人の声、素敵だな」と思うときってありますよね。「落ち着いた声」「涼やかな声」「透き通るような声」など、さまざまな形容がありますが、人が「心地よい」と感じる声には、どんな特徴があるのでしょうか?
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「この人の声、心地よいなと感じたら、それはその人の声に聞き手の状態と共鳴するような倍音が含まれているからかもしれません」と話すのは、『倍音セラピー CDブック』(BABジャパン)著者で、シンガーソングライター&ヴォイスパフォーマーの音妃さん。
「倍音」って、一体何なのでしょう?
「倍音とは、もとになる音(基音)の倍の周波数を持つ音のことです。倍音を含む声とは、基音と倍音を同時に発している声のこと。モンゴルのホーミーを聞いてもらえると、イメージが伝わると思います」(音妃さん)
なぜ、倍音を含む声は心地よく聞こえるのですか?
「私の著書の中で紹介していますが、脳科学の研究者である河野貴美子工学博士の実験で、倍音声を聞いた人の脳波には、シータ波やアルファ波が強く出ることがわかりました。シータ波やアルファ波は、人が深くリラックスしたときに表れる脳波です」(同)
特に詳しくない人でも、「この声は倍音が含まれている!」ってわかるものなのですか?
「意識して聞く習慣で、わかるようになると思います。一般的には、倍音が含まれる声は明るくて通る声だと言われています。また、倍音が含まれているかどうかわからなくても、倍音が聞こえてくるとシータ波やアルファ波が出ることに変わりはありません」(同)
自分の声を「倍音をたくさん含む声」にすることってできるのですか?
「はい。倍音は自然な“共鳴”によって簡単に出やすくなります。発声練習としては、深い呼吸に合わせて母音を長く出すことをまず行います。全身の力を抜いて、『あーーーー』という風に。私が行っている『倍音セラピー』では、一回の練習で出せるようになる人もいらっしゃいます。もちろん、最初から倍音を含む声を出している人も中にはいらっしゃいます。ちなみに、自分が出す倍音は、何より自分に対してのリラックス効果が絶大です」(同)
人だけではなく、自分自身にも効果があるんですか?
「はい。シータ波やアルファ波が出るからということもありますが、意識を集中して長く声を出すことで、自分の心の様子とじっくり向き合うことができるのも、気持ちがリラックスする理由のひとつではないかと思います」(同)
なんと、人だけではなく、自分をも癒す効果がある「倍音」。「この人と話していると、なんか癒されるな」なんて印象アップのためにも、自分自身のリラックスのためにも、ぜひとも身につけたいものです。音痴で音楽についても疎い筆者は、自分でも倍音を出せるのか不安でしたが、「音程はあんまり関係ありません(笑)」(音妃さん)とのこと。気になる方は、ぜひ挑戦してみてください。
(小川たまか/プレスラボ)