虫歯が脳出血の原因!?虫歯の原因菌が脳の血管に及ぼす影響を確認

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2016年02月25日 18:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

脳卒中の中でも重篤になりやすい脳出血の危険因子を研究

 胃潰瘍や胃がんの発症には、ピロリ菌が関与していることがよく知られています。ピロリ菌の研究はさらに進んでおり、血小板数を低下させる血液疾患を引き起こすことも判明。新しい治療方法も生まれています。このように、体内の常在菌と病気の因果関係が、次々と明らかになっています。そして今回、虫歯の原因菌であるミュータンス菌が脳出血に関わっていることが、国立循環器病研究センター、大阪大学、京都府立医科大学の共同研究チームによって明らかにされました。

 脳卒中のうち20%を占める脳出血は、塩分摂取過多や高血圧症、糖尿病などの生活習慣病が原因と言われています。しかし、啓蒙活動によって人々の予防意識が高まっているにもかかわらず、脳出血を発症する患者さんの数は減少していません。研究チームは、危険因子の解明を進める中で、虫歯や歯周病などの腔内細菌に注目しました。

ミュータンス菌の一種が血管の傷口に集まり、血小板の止血作用を阻害

 この研究では、脳卒中を発症した患者さんから唾液を採取し、唾液に含まれるミュータンス菌を培養。そのミュータンス菌の種類と、脳のMRI画像と照合して因果関係を調べました。その結果、ミュータンス菌のうち「cnm遺伝子保有株」が検出された患者さんは、そうでない患者さんと比較して脳出血を発症している割合が高いことが分かったのです。

 cnm遺伝子保有株は血管壁のコラーゲンと結合し、血管の傷口に集まって血小板の止血作用を阻害する性質を持っています。抜歯や歯磨きによって血液中に入り込んだcnm遺伝子保有株が、加齢や生活習慣によって脆弱になった血管壁に接着すると炎症を起こし、脳出血を引き起こすのではないかと考えられています。

 生活習慣の改善だけでは予防しきれなかった脳出血。この研究結果は、脳出血の治療を大きく前進させる可能性を秘めています。日常の口腔清掃や歯科治療によってミュータンス菌など口内細菌の量を減少させること、医療現場で病原性の高い細菌を選択的になくすような方法の確立が期待されます。(宮坂方子)

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