「家事・育児は母親の担当」という思い込み…妥協点は?

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2016年03月03日 11:01  ノーツマルシェ

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ノーツマルシェ

「家事・育児は母親の担当」という思い込み…妥協点は?

日本1:07(0:39)、米国2:58(1:17)、英国2:46(1:00)、フランス2:30(0:40)、ドイツ3:00(0:59)、スウェーデン3:21(1:07)、ノルウェー3:12(1:13)。


これらの数字は、6才未満の子供を持つ男性の1日あたりに家事・育児に費やす時間です。ちなみに単位はいずれも時間、カッコ内はそのうち育児の時間です(※1)。


最も家事に時間を費やしているノルウェーと日本を比較すると、最大で1日2時間以上の差があります。日本の男性は育児をしないと言われて久しいですが、定量化するとその差は歴然ですね。


 


■ 家事・育児は母親がするものという洗脳


このデーターからも、日本では「家事・育児は母親がするもの。」という思い込みが未だに根づいているように思えます。核家族化が進み、かつ、共働き世代は昭和55年と平成23年と比較し1.6倍になり(※2)、性別役割分業はもはや現実的ではないにも関わらず、実態は女性が大きな負担を強いられているようです。男性の育児参加や家事参加が当たり前との風潮が高まって来ていますが、まだまだ道半ばかもしれません。


 


■ 夫の低い家事・育児参加が産後クライシスの要因にも


日本の家庭を会社組織で例えてみると、会社の人員は減ったけれど、仕事は減らず組織体制は昔のまま。特定の部署だけ仕事が増えて負担を一気に担っている状態なのです。会社の人員が少なくなれば組織体制も変えていく必要があるのは言うまでもありません。妻は疲労困憊し、夫はそれに気が付かない。この温度差こそが産後クライシスの要因にもなっています(※3)。これでは、少子化問題に歯止めがかからないのも無理はありません。


 


■ 日本国内の時代別比較を見ると


さて、日本の男性には耳の痛い話題が続いていますが、少し視点を変えて日本人男性の育児を時代別に比較をしてみましょう。ベネッセ研究所の調査(※4)によると、2006年と2011年の比較では、男性の育児の頻度は全体的に上がっています。項目別に見ると「おむつ替えやトイレ」は6割近くが週3回以上、寝かしつけやぐずり対応など難易度の高い育児も約3.5割が週3回以上行っており、頻度としてはまだまだ少ないものの、育児への参加の傾向は見受けられます。


 


■ 夫婦の共通の望みは……


家事・育児の役割り分担となると、夫妻の対立という構造になり非生産的な議論になりがち。そこで今回は対立ではなく共存で。夫婦共通の望みは何でしょうか? 我が子が健やかに成長してくれること。夫も妻も望みは一緒なのかもしれませんね。夫婦の目標や夢が一緒であれば、お互いの妥協点を模索できるはずです。妥協は英語でcompromise。これは、com(共に)promise(約束する)という意味があります。妥協とは共に約束をすること。さらに、「妥協しよう」を”Let’s meet in the middle.”と表現した英国人がいます。直訳すると「お互いの真中で会いましょう」。”Let’s meet in the middle.”なんとも素敵な表現ですね。家事・育児の問題は思ったよりもシンプルなのかもしれません。


[執筆:久保木 惠子(コーチ), 2016年3月3日]


 


【参考】
※1. 内閣府男女共同参加局『男女共同参画白書 平成27年版』「平成26年度男女共同参画白書」
※2. 内閣府男女共同参加局『男女共同参画白書 平成24年版』「第1部 男女共同参画社会の形成の状況」
※3. 内田明香, 坪井健人(2013)『産後クライシス』ポプラ社
※4. ベネッセ総合教育研究所『第2回 妊娠出産子育て基本調査(横断調査)報告書 [2011年]』


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