専業主婦でも「親権」をとりたい! キレる「バツイチ夫」との離婚の行方

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2016年03月14日 11:52  弁護士ドットコム

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離婚する際に、どのように親権は決まるのでしょうか? 弁護士ドットコムの法律相談には、専業主婦の方から「経済力がなくても、親権はとれますか?」といった相談が数多く寄せられています。


ある女性は、2歳の娘さんを連れ、離婚を考えています。「旦那が怒るとキレ、物を投げたり蹴飛ばしたり、壁を叩いて罵声を浴びせるので精神的に参ってしまいました」。


夫はバツイチで、「離婚しようとすると旦那の両親に必死に止められます」といいます。過去には、女性が出て行くと話したところ「赤ちゃんだった娘を奪い、夜中に外に走って逃げ、車で連れ去り警察沙汰になった事もあります」といい、 親権を簡単に手放してくれるとも思えません。


女性が心配するのは、自分が専業主婦であること。経済力のない場合でも、親権をとって離婚することはできるのでしょうか? 高橋 善由記弁護士に詳細な解説をしていただきました。


A.  収入以外にも様々な要素を踏まえて判断する


親権者を決める基準としては、父母のどちらが親権者となる方が、より「子の福祉」(子の利益)にかなうのか、という点が重要です。具体的には、子どもが安定した生活環境で、健やかに育つためには、どのようにすればよいのかが重視されます。


夫婦間の話し合いで決着がつかず、調停や裁判になった場合、次のような点を考慮して親権者が決まります。


・母性の優先(特に乳幼児の場合)


・経済的能力、資産状況


・現状の尊重


・子どもの意思の尊重


・きょうだい関係の尊重


今回のケースで問題になるのは、「経済的能力、資産状況」でしょう。これは、養育費や生活費を確保できるかどうかということです。


ただし、自分の収入だけでは子どもとの生活が厳しいからといって、親権者になることができないわけではありません。配偶者から養育費を支払ってもらうことによって、生活ができるのであれば、収入が少なくても親権者になることは可能です。親権を主張する側の経済的能力や資産状況は重要ですが、収入が少ないことだけを理由に、親権が認められないという結論にはなりません。


親権争いの場ではしばしば、収入の多い夫が「妻は収入が少ないので、子どもを養育できない」と主張して、自分が親権者にふさわしいとアピールするケースが見られます。こうした夫の主張に対しては、「あなたが養育費を支払ってくれれば、養育には問題がありません。きちんと支払ってください」と反論すればいいのです。


親権者を決めるにあたり、収入が少ない、もしくはゼロだからといって、あまり心配する必要はありません。実際の調停や裁判では、収入以外にも様々な要素を踏まえて判断することになるからです。 


ご相談者は専業主婦ということですから、外で働いている夫に比べて、子どもと過ごす時間は長かったでしょう。親権者決定の際は、子どもの現在の生活環境が変わらないかどうかも重視されるため、より長い時間を子どもと過ごし、世話をしてきた親が優先される傾向にあります。また、子どもが幼ければ幼いほど、親権は母親が持つ場合が多いです。


このように、親権者は様々な事情を考慮して決定されます。収入面だけに着目して自信をなくさずに、総合的に見て、自分が親権者としてふさわしいのだということを、堂々と主張していただきたいと思います。




【取材協力弁護士】
高橋 善由記(たかはし・よしゆき)弁護士
1972年宮城県仙台市生まれ。2002年弁護士登録(仙台弁護士会)。地元仙台で、特に離婚問題で困っている方々のサポートに力を入れており、月に20〜30件の離婚相談を受けている。

事務所名:高橋善由記法律事務所
事務所URL:http://www.mylawyer.jp/takazen/


このニュースに関するつぶやき

  • 収入以外で子どものことを考えてあげられないならいっそ生まなきゃよかったのに。 私が子どもの立場ならお母さんについていくよ。 そのままズルズルと関係を続けて父親にビクビクする母親なんて見たくないし。
    • イイネ!16
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