なでしこジャパンまさかの敗退。敗因は「勝ち続ける」意志の無さにある

0

2016年03月15日 20:02  新刊JP

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

新刊JP

なでしこジャパンまさかの敗退。敗因は「勝ち続ける」意志の無さにある
女子サッカー日本代表は強かった。2011年にはワールドカップで優勝し、2012年にはオリンピックで準優勝を果たした。2014年にはアジアカップで優勝もしている。

だが、2016年のオリンピックには出場すらできない。まさかの予選敗退という結果だった。

■長く引っ張りすぎた「黄金時代」

なぜ、栄華を極めたチームがこの大切な試合で負け続けたのか?大きな理由として挙げられているのが、「世代交代の失敗」だ。

今回の代表メンバーは20人いるが、そのうち14人が2011年W杯組。つまり、5年前の黄金時代のメンバーとほとんど変わらないままだったのだ。

他国のチームの平均年齢は24歳前後。しかし、日本代表の平均年齢は27.1歳であり、明らかに若返りに失敗している。大儀見や宮間といった2011年W杯組も、今回の予選では精細を欠いていた。

なぜ世代交代に失敗し、五輪出場を逃すという悲劇を招いたのか?そこには、「目先の勝利を追う」ことの罠が隠れていた。そして、その罠の危険性を見抜いている一人の男が、日本にはいる。

■勝つことは、実はリスクでもある

「ウメハラ」と呼ばれるプロの格闘ゲームプレイヤーがいる。彼は昨年、アメリカで開かれた格闘ゲームの世界大会で730万円の賞金を獲得した。格闘ゲームに詳しくない人からすると驚きだが、アメリカではプロゲーマーは尊敬の対象であり、ウメハラ氏は「レジェンド」と呼ばれている。

ウメハラこと梅原大吾(うめはら だいご)氏は17歳の時にゲームの世界大会で優勝。ギネス・ブックに「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」として登録されている。つまり、ウメハラとは「最も長く勝ち続けている」男なのである。

『勝負論』(梅原大吾著、小学館刊)は、勝ち続けてきた男の哲学が書かれている本であり、ビジネスマンにも広く支持されている一冊だ。この本の中に、なでしこジャパンの敗因が書かれている。

以下は、本書からの引用である。

===(以下、P58から引用)
何でも構わないから勝てばいい、という人がいる。僕が「勝ち続けることが大切だ」と言うと、そういう意味だと誤解する人も少なくない。またそうした人が、現時点では実際に強さを発揮し、結果を出している場合もある。
しかし、なりふり構わずただ結果としての「勝ち」だけを追いかける人は、長期的には伸び悩む。成長を持続できないからだ。
勝つことはいい。しかし、ある時点で勝利という現象を手に入れたことで、できないことをできるように改善する力、知らない知識を仕入れ、自分のものにする作業が鈍ってしまったら、結局どうにもならないのだ。成果が出たことで甘えが生まれ、たるんでしまうのである。

===

■目先の勝利が自分を弱くする

つまり、目の前の勝負に勝つことばかりを意識してしまうと、長期的には成長できず、逆に「負け続ける」ことになる。

2011年になでしこジャパンがW杯を優勝して以降、そのメンバーはほとんど変わることがなかった。それは、この5年間、目先の勝利を追い続けてきたことを意味している。

なでしこジャパンは2012年の五輪のあと、目先の勝利を捨ててでも世代交代を図るべきであった。しかし、彼女たちはそれが出来なかった。2014年にアジアカップで優勝しているが、せめてこの時点で負けていれば、ここまで黄金時代のメンバーにこだわらなかったかもしれない。まさに「目先の勝利が長期的な成長を止めてしまった」のだ。

ウメハラ氏は本書の中でこうも語っている。

“勝ち続けることと、100戦100勝であることは違う”(P36)

勝ち続けるためには、時には負ける勇気も必要なのかもしれない。

(新刊JP編集部)

    前日のランキングへ

    ニュース設定