お金の不安にキャリアの不安...男性の育休取得が難しい理由

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2016年03月16日 12:32  BOOK STAND

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『男が育休を取ってわかったこと』池田 大志 セブン&アイ出版
なぞなぞをひとつ。女性が取るのは当然でも、男性が取ると「へぇ〜」「えっ?」といわれるものって、な〜んだ?

 答えは、「育児休業」。原則として1歳に満たない子を養育している、働く男女に認められている制度ですが、2014年の育休取得率を見ると、女性は86.6%、男性は2.3%。"イクメン"という言葉が浸透した昨今ですが、現実には男性の育休取得率は低いと言わざるをえません。

 今年2月、婚活アプリなどを運営・開発するマッチアラーム株式会社が、20〜30代の独身男性815名を対象に「将来、子どもができたら育休をとりたいですか?」と調査を実施。すると、「はい」と回答したのは67.1%。およそ7割の人が育休取得に前向きだということが明らかになりました。

「現実」の2.3%と「理想」の67.1%を単純に比較することはできませんが、これほどの大きな差が出てしまうには、どんな理由が考えられるのでしょうか。

 半年間の育休をとった経験を単行本『男が育休を取ってわかったこと』にまとめた、皮膚科医の池田大志さんは、男性が育休を取りづらい理由をいくつか挙げています。今までの日本で「仕事と家庭の両立」が仕事をする女性に限ったテーマであったこと、男性が家計を支える場合が多いため、男性の育休はすなわち収入減少を意味すること、職場に育休を取りづらい雰囲気があることなどです。

 一方、出産前後のママに人気のサイト「出産準備サイト」で、海外でのイクメン生活を綴っている株式会社NTTドコモ社員、小野俊樹さんは、男性の育休取得の難しさの背景について、経済的な問題、周囲の理解に加え、「キャリアに対する不安」を挙げます。小野さんの場合、そうした不安を抱きつつも「かわいい子どもと一緒にいたい」という気持ちが大きくなるにつれ"必要なコスト"と考えるようになり、1年間の育休を取得することにしたそう。また、小野さんはかなり特殊なケースで、ニューヨークに留学する妻についていく形になったため、"3つのはじめて"=はじめての育休、主夫生活、海外生活をいっぺんに体験中だとか。

 将来、育休を取得するパパが増え、社会が変わる――。その相乗効果は間違いなく、明るい未来につながっているといえます。同書や同サイトのように、イクメン自らが発している「生の情報」に触れつつ、より男性にとって育児がしやすい社会をみんなで作っていくことが大切なのではないでしょうか。


【関連リンク】
・パパが育休をとった! 主夫になった! ニューヨークに行った!――NTTドコモ小野さんの"はじめての150日"/出産準備サイト
http://baby.mikihouse.co.jp/information/post-5134.html



『男が育休を取ってわかったこと』
著者:池田 大志
出版社:セブン&アイ出版
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