浮気夫が「子どもに会いたい」…別居中に子どもと会わせる義務はあるの?

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2016年03月20日 08:22  弁護士ドットコム

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離婚後、親権をもたず、離れて暮らす側の親が子どもと会う「面会交流」。この制度は、親のためではなく、子どもにとっての権利です。


「現在、夫の浮気が原因で、離婚を前提に別居中です」という女性が、弁護士ドットコムの法律相談に投稿しました。「3歳の娘は私と暮らしています。夫は娘に会いたがっていますが、別居中でも面会交流に応じなければならないのですか?」。


女性は「夫の浮気」が別居理由だけに、相手へのペナルティーとして「会わせたくない」とも考えているようです。


別居中でも面会交流は義務なのでしょうか? 小田 紗織弁護士に詳細な解説をしていただきました。


A.  面会交流を拒むと親権争いで不利になる可能性も


面会交流は、離婚後もしくは別居中に、子どもを養育・監護していない方の親が、子どもと面接や文通で交流することです。ご相談のケースのように、別居中で離婚が成立する前でも、別居の原因が夫の不貞であっても、そのことを理由に面会交流を拒否できません。


一般的に、面会交流の具体的な内容や方法は、夫婦で話し合って決めます。話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて第三者を交えて話し合います。調停で決まらなければ審判に移行し、裁判官に判断を委ねます。


面会交流にあたっては、子どもの利益が最優先に考えられます。子どもの年齢や性別、性格などをふまえた上で、子どもの意思・精神状態などが充分に配慮されます。ただし、子どもの「真意」を慎重に見極めなければなりません。


例えば、両親が激しく対立している様子を見てきた子どもは、母親に気を遣って、本当は父親と会いたいのに、「会いたくない」と、真意ではない発言をすることがよくあるからです。そこで、家庭裁判所での調停や審判では、裁判所が子どもの真意を知るために、子どもや関係者と面談などを行うこともあります。


夫の浮気が原因で離婚の話し合いになったケースでは、妻が、夫に対する嫌悪感から、面会交流を拒絶することは珍しくありません。しかし、子どもを連れて行った妻が面会交流を正当な理由なく拒否することは、離婚に伴って親権者を決める際、不利な材料になる可能性があります。


裁判所が親権者を判断する際は、それぞれの親の経済状態や生活環境、子の年齢や意思などに加えて、最近では面会交流に寛容であるか否かも重視する傾向があるためです。面会交流に寛容な親に子どもを養育させ、他の親と面会交流していく方が、子どもの精神的負担が減るというのがその理由です。


なお、面会交流が制限される場合もあります。夫から妻へのDVや子どもへの虐待があり、父親との面会が子どもの精神状態に悪影響を及ぼす恐れがある場合です。


面会交流にあたっては、親の権利を強調するのではなく、子どもの健全な成長・発達のために最善の方法を模索する視点が大事ではないでしょうか。




【取材協力弁護士】
小田 紗織(おだ・さおり)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://kobemarin.com/index.html


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