コンビニコーヒー「Rサイズ」を買ってマシンの「L」ボタン押す・・・これって犯罪?

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2016年03月22日 10:42  弁護士ドットコム

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気軽さと本格さを兼ね備えているとして、人気を集めているコンビニコーヒーをめぐるエピソードが、ネット掲示板で話題になった。ある客が「レギュラーサイズ(R)」を購入したのに、マシンの「ラージサイズ(L)」のボタンを押して、カップギリギリまでコーヒーを入れて持ち帰ったーー。そんな告白を投稿したのだ。


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コンビニコーヒーは、レジで購入してカップを受け取り、店内に設置されたコーヒーマシンを自分で操作してコーヒーをいれる方式が一般的だ。コンビニの中には、Rサイズのカップでも、Lサイズの量がギリギリはいる店がある。投稿者は、その特性を利用して、意図的にRサイズのコーヒーを購入して、Lサイズのボタンを押したのだという。



この告白に対して、「犯罪ではないか」といった批判が寄せられた。こうした行為は法的には問題ないのか、田村ゆかり弁護士に聞いた。



●詐欺罪にあたる可能性


「今回のケースでは、2つの場面が考えられます。ひとつは、投稿者が『最初からLサイズのボタンを押す意図をもっていて、Rサイズを購入した』という場面。



もうひとつは、『最初はRサイズで買おうと思っていたけど、お金を払った後、ボタンを押すタイミングで、Lサイズを押そうと決意した』という場面です。



2つの場面で少し考え方が異なってくるので、分けて考えたいと思います」



田村弁護士はこのように述べる。あまり違いがないように思えるが、どう考えればいいのだろうか。



「まず、『最初からLサイズのボタンを押す意図をもっていて、Rサイズを購入した』という場面について考えてみましょう。



この場合、Rサイズのコーヒーを購入すると偽ってRサイズのカップを受け取りながら、Lサイズ分のコーヒーという財産的価値のあるものを得ているため、詐欺罪に当たる可能性があります。



つまり、Lサイズのボタン押す意図があるのに、その意図を隠して、『私はRサイズを買うつもりですよ』と装っているわけです。これが店員さんを騙す行為にあたります。



詐欺罪は、刑法246条1項で『人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する』と定められています。



次に、『最初はRサイズで買おうと思っていたけど、お金を払った後、ボタンを押すタイミングで、Lサイズを押そうと決意した』というケースを検討しましょう。



この場合、詐欺罪に当たるかどうかは少し微妙です。店員からカップを受け取ってお金を支払うという時点では、『Rサイズのコーヒーを購入して、Rサイズのボタンを押そう』と考えていたわけですから、詐欺の『故意』がないとも思えるからです。



ただ、カップを購入する行為と、ボタンを押してコーヒーを注ぐ行為が、『一連の行為』と評価することもできると思います。



やはり、詐欺罪に当たる可能性はあると思います」



●間違えて押してしまった場合は?


今回は、わざとLサイズのボタンを押したケースだが、間違えてボタンを押してしまい、そのことを告げずにその場を去ったような場合は、どう考えればいいのか。



「Lサイズのボタンを押したと知りながら店側に告げなかった行為(不作為)を詐欺行為と考えられるか、という点が問題になりますが、その時点では『財物の交付』(コーヒーの受取り)はすでに終わっており、詐欺罪にあたると考えることは、かなり難しいでしょう。



なお、いずれのケースであっても、店側としては、LサイズとRサイズの差額を支払うよう請求することができます。ただ、これは刑事ではなく民事の話ですね」



田村弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
経営革新等支援機関。2015年度沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/


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  • コンビニで働いてる知人曰く お咎めは下さないが、ブラックリスト入りにする との事。 一度許すと向こうは何度も同じ事をするから要注意扱いにするんだとか・・・
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