【プレビュー】NHKスペシャル「ママたちが非常事態!?」第二弾が放送 ――ママ・パパが抱えるモヤモヤを科学の力で可視化する

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2016年03月24日 10:32  MAMApicks

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「なんの地獄かと思った」という育児中のお母さんの率直なつぶやきが印象的だった、1月末放送のNHKスペシャルの続編が放送される。当サイトでもプレビュー記事でご紹介したが、番組が記憶に新しい方も多いだろう。

【プレビュー】NHKスペシャル『ママたちが非常事態!? 〜最新科学で迫るニッポンの子育て〜』 ――産後・育児の孤独とイライラに科学で切り込む
http://mamapicks.jp/archives/52193866.html
科学的な視点で、お母さんのつらさと現代育児の難しい側面を可視化してくれた同番組の反響は大きく、「救われた気持ちになった」という大きな共感を呼び、もっと知りたい!という声につながった。その一方で、女性の体ならではの特徴に注目した科学的アプローチには、男性や社会的背景を除外しすぎでは?という違和感も聞こえてきた。

そんなさまざまな声に応えるかのように、3月27日(日)21:00から、第2弾『ママたちが非常事態!?2 〜母と“イクメン”の最新科学〜』が放送される。


■子どもの「脳内裏事情」をイメージ
人見知りもイヤイヤ期も、それらが子どもの発達上自然な現象だと知っていたって、これに日々付き合わされるのは、ものすごくつらい。

30分とか1時間の単位で大音量で泣き続け、打つ手なし。外なら周囲の視線を感じながら、家ならそっと窓を閉め、待ち、耐える……。それが激しいぐずりのリアルな現場だ。ただ漠然と「自然なこと」と思って前向きにやり過ごせるほど甘くはない。

番組では、この時期の子どもの「脳内裏事情」を教えてくれる。脳のエリア別の機能とその発達実態から見えてくるカラクリには、「なるほど!」がいっぱいだ。対処例も、科学的な切り口のおかげで、育児の話題にありがちな、道徳的な香りがしないのが心地よい 。

視点が変わって、きっと少し気持ちが軽くなる。少なくとも「自分のせい?」という思いから抜け出すいいきっかけになるだろう。

■夫の「謎の生態」に関するモヤモヤ
そしてなんといっても今回一番の注目は、「父親」にフォーカスしたところだ。


「やっぱりママじゃないと」という言葉に、「それは違う!」と心で抗議しつつも、夜中に真横で赤ちゃんが泣いていても目が覚めない夫や、自分が抱っこしないと泣き止まない赤ちゃん……という現実に困惑しているお母さんはきっと多いだろう。

女性だって、ゼロから素人として育児に放り込まれる。自然にこなしているのではなく、必死に情報を集め、体当たりで対処しているのだ。小さなサインに反応するよう習慣づいてフル回転する自分の横で、あらゆる信号をスルーしているように見える夫の生態は、「謎」を通り越してイライラの元になってしまう。

男性だって経験して慣れればできることばかりだ!と思うけれど、たしかに体のつくりは違うしなぁ。いや、でも……。

そういうモヤモヤに、科学で切り込んでくれるのだ。

■男女に果たして能力差はあるのか?
番組では、男性の脳の反応の研究を紹介しながら、

・男女に育児の能力差があるのか
・男性は経験で育児への感受性が変化するのか

を見ていく。男性が「悪気はないんだよね」とうなずきエクスキューズしたくなるポイントもあれば、女性が「ほら、男だって……」とちらりと横目で夫を見たくなるポイントもある。

第一弾では女性の困難さにフォーカスし、今回は、男性も男性ならではの困難さを抱えているということがクローズアップされたのは大切なことだ。育児という初めてのことに取り組むのは、「女性も男性もどっちも大変なのだ」という一見当たり前なことに気づくのは意外と難しい。

お互いの「困難さのカラクリ」の科学に「へぇ〜」と思いながら、双方がかかえているしんどさについて素直に想像力を働かせることができるかもしれない。夫婦の快適な分担を見つける足がかりにできそうだ。



■育児中の男性の体の中にも変化が?!
第一弾では、出産や授乳を促すオキシトシンというホルモンの作用に注目し、産後の女性の気持ちにも独特の作用をする不思議に迫った。女性の体はこうもめまぐるしく変化するのに、男性は何も変わらないんだよなぁ、と不公平に思えるほど。

ところが、このオキシトシンが育児中の男性にも分泌されているらしいのだ。それは果たして男性にどう作用しているのか……。


進化の過程という壮大な時間軸で、男性も女性も、家族を維持し子育てをしていくためのしかけが体の中に備わってきたという話は、見えないカラクリの一端を覗いているようでとても面白い。

■今の文脈で捉えるのが大切
こういう科学的な視点で見えてくる育児にまつわる体のしかけやカラクリを、「へぇー」という驚きで終わらせるだけでなく、原点回帰のような幻想に陥るのでもなく、今私たちがいる社会背景や過ごしている家庭のリアルな文脈で捉えることが大切だろう。

番組は、科学的なアプローチで、今の私たちが抱える困難さを可視化してくれる。

その先、ならばどんな新しい育児のスタイルを築いたらいいのか?を考える材料にぜひしたい。女性も男性も仕事をして収入を得て、共に育児も家事もするのが当たり前になっている今、見えてきた困難さをどうしたら緩和できるのか、どうしたらもっと快適にふたりで育児ができるのか……。

■多彩なスタジオ出演者

スタジオの眞鍋かをりさんは理性的なママタイプで、虻川美穂子さんは現場感あふれるママタイプ。ユージさんは、男性がゼロから始めても経験でここまで反応できるようになる、という若いパパの実例としてとても心強いし、恵俊彰さんは、時間は少ないけれどできる範囲のサポートをがんばる、というスタンスで、多くのパパを安心させてくれるだろう。

京都大学大学院教育学研究科 明和政子教授と麻布大学獣医学部 菊水健史教授は、進化の過程や他の動物との比較を通して、人間ならではの認知や発達、ホルモンの働きなどを研究している。その科学的な視点のコメントは、情緒的な表現に埋もれがちな育児の世界に明快に響く。

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目下育児奮闘中のママ・パパはもちろん、それをサポートする人たち、これから育児予定の人たちも、ぜひ見て欲しい。今の自分たちのモヤモヤのカラクリが、きっと見えてくる。

NHKスペシャル『ママたちが非常事態!?2 〜母と“イクメン”の最新科学〜』
放送:2016年3月27日(日) 総合テレビ 午後9時00分〜9時49分
番組サイト
http://www.nhk.or.jp/special/mama/

狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。

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