企業規模が大きいほどハラスメントが多い!?マタハラ・セクハラの実情

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2016年03月25日 18:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

妊娠・出産経験を持つ女性の5人に1人がマタニティハラスメントを経験

 人口減少社会にあって、女性は貴重な労働力。長期就労をかなえられる環境を整えていこうとする企業が増えていますが、実際、働く女性たちを取り巻く環境はどうなっているのでしょうか。労働政策研究・研修機構が、妊娠・出産後の就業状況やセクシャルハラスメントの実態について調査を行いました。

 まず、妊娠・出産を支援する各種制度の導入状況を見てみると、産前・産後休暇制度を導入している企業は全体で86.2%。従業員数別に見ると、「10〜99人」の企業が84.8%、「100〜999人」の企業が97.1%、「1,000人以上」の企業では100%となりました。雇用形態別で見てみると、正社員はどの従業員規模の企業も99.7%以上が導入済み。これがフルタイムの有期契約労働者(契約社員等)になると33.2%、パートタイマーでは37.5%と低水準に留まります。その他、導入している制度としては、「時差通勤・勤務時間の短縮等(制度ありと回答した企業の68.2%)」、「業務負担軽減(同63.3%)」、「妊婦検診の受診時間確保(同58.4%)」が挙がりました。

 一方、過去3年間に妊娠・出産を経験した労働者にその後の就業状況について尋ねたところ、「在職したまま出産した」のは正社員で75.0%、有期契約労働者で81.4%、パートタイマーで58.3%、他企業に派遣就労している労働者は59.3%となりました。そのうち、正社員や有期契約労働者は96%以上が産前・産後休暇を取得した後復職していますが、他企業への派遣労働者は80.2%に留まっています。また、妊娠・出産・育児を理由に不利益な行為を受けた人(マタニティハラスメント経験者)は21.4%で、従業員数が多い会社ほど経験率が高い傾向に。特に派遣労働者の経験率が高く45.3%となったことから、派遣労働者が妊娠・出産後に就業を継続する難しさを感じさせます。

セクシャルハラスメントを受けた人の6割が無対応

 次に、セクシャルハラスメントの経験有無を尋ねたところ、「経験した」と回答したのは28.7%で、マタニティハラスメント同様に従業員数が多いほどやや経験率が高くなりました。しかし、雇用形態別では逆に正社員の経験率が最も高く、34.7%。内容としては、「容姿や年齢、身体的特徴について話題にされた(53.9%)」、「不必要に身体に触られた(40.1%)」、「性的な話や質問をされた(38.2%)」といった回答が多い結果となりました。

 セクシャルハラスメントを受けた際の対応として、「会社の相談窓口や担当者に相談した(3.1%)」もしくは「上司に相談した(10.4%)」人は低水準に留まり、6割以上が「がまんした、特に何もしなかった」と回答しています。また、会社や上司に相談した場合の対応としては、事実確認や行為者・職場全体への注意喚起が中心となっており、「特段の対応は行われなかった」という回答も22.7%ありました。中には、相談した結果「上司や同僚から嫌がらせを受けた(5.7%)」もしくは「解雇や退職強要等の不利益取扱いを受けた(3.6%)」人もいました。

 一方、セクシュアルハラスメントの防止対策を行っている企業は59.2%。内容としては、「相談・苦情対応窓口の設置(36.5%)」、「セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針の明確化(29.6%)」、「セクシュアルハラスメント行為者に対する懲戒等の対処方針の文書化(26.7%)」といった対策が挙がりました。

 セクシャルハラスメントの内容には、「『男の子、女の子』『おじさん、おばさん』といった呼び方をされた」といったものも含まれ、非常に繊細な問題であることから、すべてに対応するのは難しいのではと感じるところもあります。今回の調査結果から、女性の長期就労をかなえるための制度導入はある程度進んでいる印象を持ちましたが、ハラスメント対策についてはまだまだ課題が多いと言えそうです。(宮坂方子)

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