国際連合食糧農業機関(FAO)の推計によると、1年間の食料廃棄量は、世界全体で、食料生産量の約3分の1に相当する16億トン。
これらがもたらす経済損失は、直接的なものだけで、7,500億ドル(約85.2兆円)にのぼっている。
とりわけ、飲食業を中心とする接客サービス業界では、食べ残しや食材の使い残しなど、まだ食べられるにもかかわらず、大量の食料を廃棄しているのが現状。
接客サービス業界からの1年間の食料廃棄量が25億ポンド(約4,035億円)にのぼる英国では、レストランなど、接客サービス業界向け食料廃棄物モニタリングソリューション『Winnow』が、着実に実績を上げている。
スマートスケールとタブレット用アプリで食料廃棄量を計測
『Winnow』は、Bluetoothが内蔵されたスマートスケールとタブレット端末対応の専用アプリで構成されているのが特徴だ。
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ユーザーは、スマートスケールをゴミ箱に取り付け、食材を廃棄するごとに、タブレット端末を通じてその種類を指定。すると、廃棄した食材の重量とコストをスマートスケールが自動的に計測し、データとして記録する。
さらに、これらのデータは、クラウド上にアップロードされ、『Winnow』が独自に開発したアルゴリズムで解析。その解析レポートは、毎日、ユーザーに電子メールで配信される流れとなっている。
食料廃棄量50%削減を達成
『Winnow』は、2013年5月の創設以来、英有名レストランのリバーコテージ・カンティーン(River Cottage Canteens)、欧州大手ホテルチェーンのアコーホテルズ(Accor Hotels)、世界約50カ国でフードサービスを展開するコンパスグループ(Compass Group)など、200カ所で導入。
コンパスグループ傘下のレストラン・アソシエイツ(Restaurant Associates)では、『Winnow』の活用によって、食料廃棄量を50%以上削減できたという。
食料廃棄量も、データでモニタリングする時代へ!?
農林水産省によると、日本でも、2012年時点で、規格外品や売れ残り、食べ残しなど、まだ食べられるのにもかかわらず廃棄されている“食品ロス”が、事業者からの排出量だけで331万トンにのぼり、食料廃棄物全体の11%を占めている。
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簡単かつ素早く食料廃棄量をデータで可視化し、継続的にモニタリングできる、『Winnow』のようなソリューションは、日本の飲食業界などにおいても、食料廃棄量の削減に役立ち、ひいては、業務の効率化や収益性の向上にも、大いに寄与しそうだ。
【画像・参考】
※ Winnow
※ Food wastage: Key facts and figures – FAO
※ Hospitality and food service: WRAP’s work
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※ 食品ロスの現状 平成24年度推計値 – 農林水産省