3月ももう終盤。ここ数日で格段に暖かくなり、いよいよ春到来!と心躍りつつ、やはり別れが気になる季節。
既出コラム「
Eテレ新年度『ゆく番組くる番組』2016」でもお伝えしたとおり、このたびの年度替わり最大のトピックスといえば、何といっても『おかあさんといっしょ』のたくみお姉さん卒業&ポコポッテイトの終了だろう。
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Eテレ新年度『ゆく番組くる番組』2016http://mamapicks.jp/archives/52197835.html
昨年、
『いないいないばあっ!』のゆうなちゃん、『みいつけた!』のスイちゃんのダブル卒業でだいぶ免疫ができたつもりでいたが、そうは言っても日常に組み込まれていた風景が様変わりするのだから、動揺しないわけがない。
卒業するときはだいすけお兄さん、よしお兄さん、りさお姉さんもみんな一緒にかな、と何となく思っていたので、単独卒業と聞いて昨年と同じように、夫に「たくみお姉さん卒業らしいよ……」とメールしてしまった。
夫は日頃、「たくみお姉さん可愛い」と言っていたので、一緒に別れを惜しんでくれるのかと思いきや、「でも新しいお姉さんも可愛いから楽しみ」とさっくり寝返られて、「お前……そういう薄情なところあるよな!!!」と裏切られた気持ちでいっぱいである。
しかし、たくみお姉さん就任時も、先代のはいだしょうこお姉さんを惜しむ人々が多い中、あまりのレベルの高さに、皆すぐにたくみお姉さんファンになったという話を聞いたことがあるので、私もすぐに新・うたのお姉さんに取り込まれるのだろう。
一方、ポコポッテイトの終了により、新しく始まる「ガラピコぷ〜」、こちらに馴染むのは若干時間がかかるかもという予感がしている。最初に見たときに、そのカラーリングが目にまぶしいというか「ちょっとドぎついな……」と思ったのが本音である。
もちろん入念なキャラクターデザインによるものだろうし、子どもたちの心を惹き付ける要素に満ちているのだろう。ただし、筆者はポコポッテイトのキャラクターそのものというよりは、たまに子ども向け番組とは思えない不可解なオチとか、ちょっとバッドエンドっぽい容赦のなさとか、斜め目線で見るのを楽しみにしていたので、「ガラピコぷ〜」にも予測のできない方向性を見せて欲しいなと期待を寄せてみる。
しかし、こうも毎年誰かしらの卒業があるとあわただしいものだ。
我が家も3月いっぱいで丸1年通った保育ママでの生活が終了し、その次の日から保育園に通うので、毎年別れと出会いを経験することになるのだが、環境の変化にはなかなか心がついていかない。
2月の下旬に認可保育園の内定通知が出てからは、面談に健診に、布ものの準備(実家の母に丸投げしたが)にとタスクもそれなりにあり、日々の仕事もあるので、あまり感傷に浸っている場合でもなかったのだが、保育ママさんから、「もう来週で終わりだから、そろそろ荷物の片付けをしましょうか」と言われたときには、胸がズキンとした。
今年は周囲にも引越しをする家庭がいくつかあり、まさにそれぞれの春だな、としんみりしている。前もって分かっていた場合でも、予期せぬ場合でも、親しくなった人たちと別れるのはさみしいものだ。
また、卒業シーズン真っ只中ということもあって、ここ最近はSNSを開くたびに卒園・卒業の投稿が目立つ。友人ママパパたちの熱い想いを目にすると、彼らの子育てをつぶさに見ているわけではなくても、感じ入るところが大きい。
何でも卒園・卒業となると号泣必至なので、ママさんたちはつけまつげやまつげエクステをして式に臨むらしく、それが1人2人ではないことに、ママさんたちの本気を見た。
私も保育ママの最終日には泣くことを予想しているものの、帰宅して顔を洗えば済む話。だが式典ともなると写真やムービーに姿が残るし、マスカラが落ちて目の周りを真っ黒にしている場合ではないな、と「卒園式にはまつエク」とスマホのメモに残しておいた。数年後にぜひ役立てよう。
さて、一昨年に公開された『6才のボクが、大人になるまで。』という映画がある。
タイトルの通り、主人公が6才のときから毎年少しずつ撮影をして、12年の歳月を描いた実録に近いフィクションでものすごい秀作なのだが、主人公が大学に進学する際、母親が漏らすセリフが非常に印象的だった。
「あなたと妹を大学にやったらあとは何が残るの?私の葬式だけよ! 人生ってもっと長いと思っていたのに!!」
夫と離婚して、シングルマザーとなった母親は、修士号を取り仕事もして、また別の男性と再婚したり、数々のライフイベントを経て二人の子どもを育て上げるのだが、闘いの日々の後にあっさりと子育ての終わりを突きつけられ、拍子抜けしてしまうのだ。
「もっと長いと思っていた」と主人公の前で目を真っ赤にして語るシーンは、まだまだ私には想像しえない域だ。その言葉が重く響く一方で、巣立ちの場面が爽やかに描かれていて、私はいつかこんな風に考えられるだろうか?と思わず自分に問いかけた。
卒園・卒業を迎えた先輩ママパパたちがみんないい表情だったのも、これに近いのかもしれない。今は卒業を「さみしい」と捉えている私にも、晴れやかなものとして映る日が来ればいいなと感じている。
さて、たくみお姉さん&ポコポッテイトの最終日、3月31日は一体どんな演出になるのであろうか?
感動的な卒業スペシャルよりも、いつものたくみお姉さんらしい変顔とか豪快な笑顔とか、湿っぽくないフィナーレを期待しているのだが果たしてどうなるか。もしくは新・うたのお姉さんとめちゃくちゃスケールのでかい歌を披露して、我々の度肝を抜いてくれるか……。
ポコポッテイトも「え?それで終わり?」みたいな展開を予想しつつ、スタンダードな終わり方かもしれないし、なかなか読めない。
いつもは身支度や家事をしながら鑑賞しているが、最終日は8時にテレビの前にスタンバイしてみよう。もちろん録画必須で。
(たくみお姉さんも最終回はまつエクして臨むのかな……)
真貝 友香(しんがい ゆか)ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。