学校教育でも義務づけられている食育
画像はリリースより文部科学省が発表した学校保健統計によると、虫歯がある子どもの割合は戦後の昭和20年代後半から急激に増え、平成に入ってからは減少傾向にあります。戦後と言えば西洋の食生活が普及し、チョコレートやキャンディ、コーラなどの甘いものが日常的なものとなっていった時期。一方、最近は虫歯に関する啓蒙活動が進み、人々の予防意識が高まっているように感じます。食習慣や知識が虫歯の罹患率を左右しているように感じますが、今回それを裏付けるような研究結果が発表されました。
研究を行ったのは、岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科と、同大保健管理センターの共同研究グループです。日本では、国民の健康増進を目的に2005年に食育基本法が制定され、学校でも食育が義務づけられています。今回は、大学生を対象に食育の知識の有無によってどれだけ虫歯の罹患率に影響があるかを調査。大学生2,184人に対して食育に関してどれだけ理解しているかを質問し、その後3年間にわたって食習慣の傾向と虫歯の罹患状況について追跡踏査を行いました。
知識の有無によって虫歯のリスクが2倍に
追跡できた562人のうち、食育の知識のある男子の36.0%と知識のない男子の51.9%に虫歯が見られ、知識のない男子のほうが虫歯になっている人が多いことが分かります。さらにほかの因子で調整したところ、男子学生において食育の知識のない学生は、食育の知識のある学生よりも2倍虫歯の罹患者が増加しました。
女子学生はダイエット意識が強い世代ということもあるせいか、男子学生ほど明確な差は出なかったようですが、「甘味飲料をよく飲む」と答えた学生のほうが、1.9倍虫歯の罹患率が多い結果となりました。
他国では、食育の知識があると甘いものを控えるようになるという研究結果が出ています。この調査でも、食育の知識がある者は間食や夜食をとらない傾向が見受けられました。今回の研究結果は、食育が虫歯予防に貢献する可能性を示唆するものです。気になるところとしては、ほかの生活習慣病の予防にもつながるかどうか。こういった調査が増えてくると、自ずと食生活への意識も高まりそうですね。(宮坂方子)
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