定年「66歳以上に引き上げ」企業に国が助成金、「雇用継続の可能性が広がる」

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2016年04月08日 10:52  弁護士ドットコム

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これからの時代、高齢者は何歳まで働くことがスタンダードとなるのだろうか。厚生労働省は、高齢者雇用を促進するため、今年4月から、定年退職の年齢を「66歳以上」に引き上げた企業への助成金を厚くする制度をはじめた。


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同省ではこれまで、定年を引き上げた企業に対し、社内規定の整備などにかかった費用の3分の2を助成。また定年を「70歳以上」とした場合、費用にかかわらず上限額の約65万円を給付してきた。4月からはこの年齢をさらに広げ、定年を66歳以上に引き上げた企業に上限額を助成する。



高齢者の雇用を促す意図があるようだが、労働者、企業にとって、どんなメリットがあるのか。國安耕太弁護士にきいた。



●どんな制度になっている?


「『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)』は、65歳未満の定年を定めている事業主に対し、(1)定年の引上げ、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年の廃止のいずれかの措置を講じることを義務付けています。



今回の助成金は、定年を66歳以上に引き上げた場合に、一定金額(上限が約65万円)を助成するというもので、『高年齢者雇用安定法』の定めを超えて、高齢者の活用を推進しようとする意図があるといえます」



どんなメリットがあるのだろうか。



「高齢者を積極的に登用しようとしている企業にとっては、この制度を利用して社内規程を整備できる等の利点があるでしょう。労働者にとっても、定年が引き上げられることで雇用継続の可能性が広がります。



なお、2013年3月までは、『中小企業定年引上げ等奨励金』というものが存在していました。65歳以上への定年引上げや、定年制の廃止または希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度などを導入した中小企業に対し、助成する制度です。



今回の助成金は、この中小企業定年引上げ等奨励金の対象および金額を拡大したものともいえるでしょう」



國安弁護士によれば、4月からは中年にとっても歓迎できる制度が始まっている。



「4月からは、65歳以上の社員を雇っている企業が、40〜50代の転職を受け入れると、1人あたり40万円の助成が受けられる新制度も始まりました。転職が難しいと言われている50代を積極的に登用する企業が出てくるかもしれません。中高年者にとっては、いくらか働きやすい環境になると言えそうです」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
國安 耕太(くにやす・こうた)弁護士
2002年早稲田大学法学部卒業。07年中央大学法科大学院修了。08年弁護士登録。2010年中央大学法科大学院実務講師(現任)。11年中央大学法学部兼任講師(現任)。13年ノースブルー総合法律事務所開設、代表弁護士に就任。14年15年財務省税関研修所委託研修講師(知的財産法)。大田区法律相談員、第一東京弁護士会民事介入暴力対策委員会委員、総合法律研究所(知的所有権法)委員

事務所名:ノースブルー総合法律事務所
事務所URL:http://north-blue-law.com/


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