岡山市内の会社員男性宅の玄関ドアポストに約40匹の昆虫の幼虫を入れたとして、保育士の女性が3月下旬、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで岡山県警に逮捕された。
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報道によると、女性は2015年末から年始にかけて、以前近隣に住んでいた男性が入居しているアパートのドアポストに、約40匹の昆虫の幼虫を捨てた疑いが持たれている。女性は、この男性の乗用車に油性ペンで落書きをしたとして、今年3月上旬に器物破損の疑いで逮捕され、処分保留で釈放中だったという。
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産経新聞によると、この幼虫はペットの爬虫類用のエサとして市販されているもので、体長約3センチ。しかも、「生きていた」ということだ。今回の容疑は廃棄物処理法違反(不法投棄)だが、虫が「廃棄物」というのは少しピンとこない。星野学弁護士に聞いた。
廃棄物処理法には「廃棄物」の定義が次のように書かれている。
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「ごみ、粗大ごみ・・(中略)・・動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のもの」(同法2条1項)
まず、虫は「動物の死体」にあたるのだろうか。
「動物とは一般的に、植物以外の生き物を指すため、虫も動物に含まれると考えます。生きた虫を『動物の死体』としてあつかうのは難しいと思います。
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もっとも、虫が1匹でも死んでいた場合や、死ぬことが確実だった場合なら、廃棄物処理法に違反する行為にあたるといえるでしょう」
報道では、幼虫は「生きていた」と報じられている。
「今回のケースについて、捜査機関は、生きた幼虫を生き物とはとらえず、『その他の汚物または不要物』にあたると判断したと考えます」
生きた虫は「汚物」なのだろうか。
「たとえば、昆虫の幼虫に対して不快感を抱く人がいますから、『汚物』とみる余地があるかもしれません。
ただ、カブトムシやクワガタなどの昆虫を卵・幼虫段階から飼育して成虫にするのを楽しむ人もいます。したがって、『汚物』にあたると判断するためには、一般社会で『汚物と考える人もいる』という程度では足りないと思います」
では、『不要物』にあたるのだろうか。
「少しむずかしいですが、『不要物』にあたるかどうかについて、行政や裁判所の見解は、占有者の意思(主観的要素)、その形状(客観的要素)などを総合的に考えるべきとされています。
今回のケースでいえば、生きた虫は、女性にとっても価値はなく(嫌がらせに使えるという価値は除きます)、虫を利用したり、有償で販売することもできないでしょうから、『不要物』にあたると考えることができます」
星野弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
星野 学(ほしの・まなぶ)弁護士
茨城県弁護士会所属。交通事故と刑事弁護を専門的に取り扱う。弁護士登録直後から1年間に50件以上の刑事弁護活動を行い、事務所全体で今まで取り扱った刑事事件はすでに1000件を超えている。行政機関の各種委員も歴任。
事務所名:つくば総合法律事務所
事務所URL:http://www.tsukuba-law.com
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