消費者庁は3月9日、水素水や健康食品などの販売会社「ナチュラリープラス」(東京都港区)に「特定商取引法」違反で9カ月間、新規勧誘など一部の業務停止を命じた。
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報道によると、新規会員の勧誘時に販売員が氏名などを明示しなかった、契約の概要書面を渡さなかった、「病気が治る」などの虚偽の説明をしたなどの迷惑行為があったという。
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「ナチュラリープラス」にかぎらず、健康食品や化粧品の「ネットワークビジネス」については、他社でも同様の問題が指摘されている。ネットワークビジネスはどこまでが合法なのだろうか。そして今回の処分は、どこが問題視されたのか。柴田幸正弁護士に聞いた。
「『ネットワークビジネス』というと何やら聞こえが良いですが、法律で厳しく規制されている『マルチ商法』のことだと知れば、途端に印象が変わるのではないでしょうか。
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典型的な『マルチ商法』は、まず販売組織に加盟して販売員になろうとする者に、一定の負担をさせた上で販売活動をさせます。そして、その販売員の下にピラミッド状に販売組織を作り、販売員が負担以上の利益を得られるとして、勧誘する事業形態です。
特定商取引法では、『連鎖販売取引』と定義づけられます」
問題点はどこにあるのだろうか。
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「このマルチ商法は、ピラミッド組織が広がり続けないと販売員が利益を上げられないという根本的な問題点があり、破綻は必至と言えます。
他にも、次のような問題が指摘されています。
・加盟する際に補償金などの多額の金銭支払いが必要
・多量の商品在庫を抱えてしまう
・新規会員獲得のために加盟者の友人・知人に対して詐欺的なセールストークで勧誘が行われ、加盟者の人間関係まで破壊する
そこで、特定商取引法は、マルチ商法について、勧誘時の『事実の不告知・不実告知の禁止』や、『断定的判断の提供の禁止』など、禁止行為を定めています。これに違反した場合の行政処分や刑事罰を定めるとともに、一定の場合に契約の取消権や中途解約権を認めています」
ナチュラリープラスについては、どこが問題となったのだろうか?
「今回、ナチュラリープラスは次のような問題が指摘されたようです。
・勧誘方法について、勧誘する目的を明示しなかった
・商品の効能や利益が出る仕組みについて事実と異なる内容を説明して勧誘した
・会員登録料の負担が必要という重要事項を告げなかった
・勧誘目的を告げずに公衆の出入りしない場所で勧誘した
・相手方に迷惑を覚えさせるような方法で勧誘を行った
これらを理由として、消費者庁が行政処分(平成28年12月9日までの9ヶ月間、新規勧誘・申込受付・契約締結を停止)を下しています」
柴田弁護士は、今回の処分を次のように評価した。
「今回の処分が他の特定の業者の営業活動に直接影響を与えるとまでは言えませんが、こうした情報が広く知れ渡ることによって、『自分もこんな勧誘をされたことがある』とか、『知人が販売している商品も同じような勧誘の仕方だった』などと、一般の消費者の方が、自分の周りに潜んでいる違法なマルチ商法を見つけるきっかけになるかもしれません。
もちろん、マルチ商法は、特段目新しい取引形態というわけではありません。しかし、今回のような事例が明るみに出たことを契機として、一般消費者としては、上記のような勧誘を受けたときに、『違法なマルチ商法ではないか?』と疑う反射神経を養うことが改めて必要になるでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
柴田 幸正(しばた・ゆきまさ)弁護士
2008年登録、愛知県弁護士会所属。同弁護士会の消費者委員会では、食の安全問題検討チーム長を務めている。地元の瀬戸市で、個人向けの一般民事・家事事件、中小企業向けの顧問業務などを取り扱っている。メディア出演歴「クイズプレゼンバラエティーQさま!!」など。
事務所名:柴田幸正法律事務所
事務所URL:http://shibatayukimasa-law.p-kit.com/
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