4月11日は「世界パーキンソンデー」パーキンソン病治療の今と未来

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2016年04月11日 12:00  QLife(キューライフ)

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超高齢社会を迎え、患者の増加が予想されるパーキンソン病

順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科教授 服部信孝先生

 4月11日は「世界パーキンソンデー」です。これはパーキンソン病を発見したイギリスのジェームズ・パーキンソン氏の誕生日にちなんだもの。世界各国でさまざまなイベントが行われます。この世界パーキンソンデーを前に、アッヴィ合同会社は4月6日、プレスセミナー「パーキンソン病治療の現状と将来への期待〜患者さんの声をふまえて〜」を開催。順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科教授の服部信孝先生が講演しました。

 神経伝達物質のひとつであるドーパミンが不足することで、情報がうまく伝達できなくなり、体の震えや筋肉の固縮、平衡障害などの運動障害が起こるパーキンソン病。その患者さんは全国に15〜20万人ほどいると推定されています。服部先生は、「60代で100人に1人、80代で100人に3人というように、年齢とともに増えていく病気です。超高齢社会を迎え、パーキンソン病の根治が急務となっています」と語ります。

 嗅覚障害や便秘、睡眠障害に始まり、運動障害の発症、自律神経障害や認知症へと進むパーキンソン病は国の指定難病です。「(1970年代に)Lドーパというお薬が登場するまでは5年くらいの経過と言われていましたが、現在は10〜20年と、予後の良い疾患になっています」と服部先生。しかし、「今なお『数年後には寝たきりになってしまう』という説明をしてしまう先生もいます」と、医師の間でも最新の情報がそれほど知られていない現状を明かしました。

iPS細胞治療の研究進むも「適用範囲は広くない」

 Lドーパを含むさまざまな薬物療法の登場、脳深部刺激療法という手術が保険適応となるなど、パーキンソン病を取り巻く治療環境は着実な進歩を遂げています。その一方、患者さんたちからは、いまだ満足いく治療ができていないという声も。全国パーキンソン病友の会が会員8,500名を対象に行った調査では、「現在受けている治療にどの程度満足していますか」という質問に「非常に満足している」「やや満足している」と回答したのは合わせて43%にとどまります。

 こうした声に応えるため、新たな治療薬の開発とともに近年では遺伝子治療やiPS細胞を用いた治療の研究が行われています。しかし、こうした最新の治療法も万能ではないようです。「一部の患者さんではiPS治療を行うことで、薬物治療が不要になると予想されています。しかし全例がそうなるわけではなく、ある程度選定していかないと治療効果は期待できません。患者さんたちが思っているほど応用範囲、適用範囲は広くはないということです」(服部先生)

 手足震えやこわばりを伴うパーキンソン病は、脳梗塞、リウマチなどの疾患と間違えられ、診断がつくまでに長い時間を要する患者さんも。「パーキンソン病は、我々専門医にとっては比較的容易に診断できる疾患ですが患者さんは何科に行っていいかわかりません。長い人では6、7年とかかっている人もいます」と服部先生。適切な早期治療を受けるために、整形外科だけでなく神経内科を受診することも検討するようアドバイスを送りました。(QLife編集部)

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