20代〜40代を襲うアダルトチルドレン傾向の恐ろしさ

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2016年04月13日 12:01  JIJICO

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JIJICO

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年々増加傾向のアダルトチルドレン傾向


池袋で心理カウンセリングルームを営んでいる私のもとには、様々なクライアントの方が訪れます。
その中で最近顕著に増加をしているとみられるのが「アダルトチルドレン傾向」というカテゴリーに属する方々であります。


アダルトチルドレン傾向とは、医療的診断名ではありません。
うつ病や統合失調症のような内因性の精神病ではないし、不安障害のような神経症として診断マニュアルであるDSMに記載されているわけでもありません。


 しかしながら、クライアント本人の自覚症状は決して看過できるような軽度なものではありません。
クライアントの皆さんは必死の思いで、いうなれば「どうせ死んでしまうならその前に一度カウンセリングに行ってみよう」という最後の賭けとしてこちらのカウンセリングルームにコンタクトしてくるぐらい切迫した状態の方が多いのです。


アダルトチルドレン傾向の特徴


 アダルトチルドレン傾向とはどんなものか。
一言でいうなら自分の「自我」が全くなく、自己犠牲を払う事でしか自分の価値を認識できない、周りの人の顔色を伺い、自分の意思決定ができず、自分の心地よさ・不快感を全く認識できないという状況です。
常に激しいオーバーワーク状態で心身ともに疲弊し、不安障害・共依存を併発することも多いのです。


実際には、自分の社会的役割を献身的に果たそうとするので、組織で管理職をつとめ、家庭でも良き家庭人であったり、傍目には何不自由ない人に見えることも多い。
その一方で、クライアントの内面としては、自分自身の生存価値も、生きていていいのかすら確信が持てず、常に失敗を恐れ、完璧さを追求し、にも関わらず未来的展望は全く描けないという、常に「絶滅不安」の中で暮らしている正に精神が危機的状況なのです。


アダルトチルドレン傾向は本人の責任ではない


ではなぜ、アダルトチルドレン傾向というのは形成されるのでしょうか。
原因を簡単に言うと、子どものころの成長する段階での環境問題であり、いわゆる「機能不全家族」の中で育つとアダルトチルドレン傾向になりやすいのです。
したがって本人には全く責任はありません。


虐待やその逆の過保護、親の育児能力の欠如などにより、子供が子供として気持ちを受けとめられ、甘えられることをゆるされなかった環境故にその悲劇は起こるのです。


昨今は、虐待などと並び、親が子供を自己実現の手段として、子供のための幸せでなく親の都合の幸せのために、子どもを無意識に利用してしまったことで発生するケースも散見されます。


親の過保護も、子供の自律的自発的成長を激しく阻害するという点で、明らかな虐待であると筆者は確信しています。
昨今メディアで見る「毒親」などがまさにそれで、毒親は「あなたのためだから」という言葉で子供を縛り、自分の価値観を過剰に植え付け、子供が成長してからも自分のために子供を消費しようとするのです。


カウンセリングの過程で明らかになるのですが、(毒)親自体がアダルトチルドレン傾向であることが多いのです。
所謂「世代間伝達」であり、極めて根が深い事がわかります。


アダルトチルドレン傾向を克服するには


このような極端な「アダルトチルドレン傾向」による生きづらさは、思春期のころには自覚されません。
自覚されるのは20代後半〜40代前半にかけてで、本人が成長し社会にでて社会的知見が広がり、「今までの自分の環境はなにかおかしかったのではないだろうか?」と考えるようになってからです。


そこから、クライアントの方たちにとっては、自分と親と向き合う、人生を賭けた生きるための長い、苦しい戦いが始まるのです。
産業・心理カウンセラーとして、私が常にクライアントに力説しているのは、「アダルトチルドレン傾向とはあくまで後天的なもの」であり、「あなたの責任ではない」「後天的なものなのだから、学習によってかならず治る」という強いメッセージです。


常に支え、励まし、クライアントの横を歩むサポーターであるよう、今日もカウンセリングルームで自分に銘じているのです。



(芝崎 美幸・産業カウンセラー)

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