2カ月の家賃滞納を理由にドアに錠を取り付けられ、勝手に家財を処分されたのは不当な「追い出し」だとして、東京都の40代男性が家賃保証会社「ラインファクトリー」に対し、損害賠償など330万円を求めていた裁判で、東京地裁は4月13日、保証会社に55万円の支払いを命じる判決を出した。
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判決では、男性を締め出したことについて「不法行為責任を免れない」と指摘。家財を撤去したことについても、「刑事において窃盗罪または器物損害罪に処せられるべき行為」とした。
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判決などによると、2015年当時、神奈川県のアパートに住んでいた男性は、体調不良で仕事を辞め、家賃が払えなくなった。男性は日雇い労働を始めたが、収入は不安定だったという。管理会社に連絡して家賃の支払いを待ってもらったが支払えず、2カ月が過ぎた頃から、保証会社による「取り立て」が始まった。
家の前で、周囲に聞こえるような大声で家賃を催促され、しばらくすると、ドアに外側から補助錠をつけられ、家から締め出されてしまった。保証会社に連絡すると、「家賃が払えなければ家財を撤去する」と言われたという。
男性はやむなく9日間、公園やファストフード店で夜を過ごし、新しい勤務先の寮に引っ越したが、元の家を訪ねると、家財道具は処分された後だった。
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東京・霞が関の司法記者クラブで会見した原告側代理人の林治弁護士は、「『追い出し』の事案はたくさん扱ってきたが、『刑事上』の責任にここまで踏み込んだ内容は聞いたことがない」と語った。
家賃滞納などを理由とした「追い出し」はリーマンショック後に社会問題化。民主党政権下で規制法案が作られ、参院で可決されたが、衆院での審議が進まず、廃案になっている。
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林弁護士は「取り立て行為でも、お金の場合は規制があるのに、家賃の場合は野放しという感じ。追い出しは今も続く問題であり、罰則を伴う法律が必要だ」と語った。
男性は会見に同席し、「他にも追い出し行為を受けた方々がいると思う。今まで泣き寝入りしている方々にこの裁判のことを知ってもらいたい」と話した。
弁護士ドットコムニュースの取材に対し、被告のラインファクトリーは「判決文が届いていないので、現段階ではお答えできません」と答えた。
(弁護士ドットコムニュース)
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