医療・保健指導スタッフの過半数、乳がんになっても「仕事と治療を両立したい」

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2016年04月19日 12:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

看護師や保健師など医療・保健指導スタッフ258人を対象に調査

 日本における乳がん患者の数は約20万人。女性特有の中でがんでは、圧倒的に多くを占めます。さらに発症する年齢(好発年齢)は若年化が進み、全世代で高い罹患率となっています。一方、治療後は仕事に復帰し、出産や育児を行う人も多く、その人たちの中には、治療後も悩みや不安を持ち続ける人が目立ちます。そこで日本医療・健康情報研究所は、看護師や保健師など医療・保健指導スタッフ258人を対象に、乳がん治療や乳房再建術に関する意識調査を実施しました。

 乳がんの早期発見のため自分で行っていることでは、「乳がん検診を定期的に受けている」が74%で、「自己触診を定期的に行っている」が29%でした。また、70%が身近に乳がん経験者がいると答え、51%が乳がんに関する相談を受けたことが「ある」と答えました。相談内容では「治療について」が74%で最も多く、「治療と仕事の両立について(45%)」「術語のリンパ浮腫について(33%)」と続きました。

 回答者のうち乳がん経験のない243人に、「もし自分が乳がんになったら仕事はどうするか?」と聞いたところ、「仕事と治療を両立したい」が51%と過半数を占めました。なかでも、医師と保健師は、6割近くがこのように答えています。次に多かったのは、「できるだけ休養を取り、完治したら同じ職場へ復帰したい」で24%。「仕事は辞めて治療に専念する」はわずか5%という結果でした。

治療後の見た目にコンプレックスを感じる人も

 それでは、実際に乳がんを経験した人はどうでしょうか。回答者で乳がん経験のある15人のうち、「仕事と治療を両立した」のは60%で、「 できるだけ休養を取り、完治したら同じ職場へ復帰した」が40%でした。また治療後の悩みでは、「いつ再発するかと思うと怖い」が47%に達し、「パートナーや家族に裸を見せられない」、「温泉に入ったり水着になれない」、「性生活がなくなった」がそれぞれ20%でした。

 「乳房再建」の認知度は99%と高く、治療法別の認知度では自身のお腹や背中の組織を使った「皮弁法」が69%で、「自家脂肪注入法」が56%、「乳房インプラント」が53%でした。また、47%が乳房を全摘出したら再建術を「受けたい(受けた)」と回答しています。乳がん経験者では、「受けた」人は13%。日本で乳房再建があまり普及していない理由として、「経済的な負担」を挙げた人は78%でした。

 今回の調査では、回答者から乳がん治療や乳房再建について率直なコメントも寄せられています。「治療に加え再建となると保険適用範囲外の治療も増え、精神的・金銭的に負担が増えそうで心配です」と負担を懸念する声や、「女性にとって乳房を失いことはメンタルな痛手が大きいので再建は必要」という声がありました。治療や検診、乳房再建に関する継続的な情報提供や、普及啓発が求められていると言えるでしょう。(林 渉和子)

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