熊本地震、信頼できる災害情報・安否情報をネットで確認する

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2016年04月19日 19:41  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

 熊本地震に関連した災害情報が、ネット上で大量に公開されている。ソーシャルメディアは情報の鮮度は高いが、デマ、流言飛語も多いため、注意が必要だ。


 災害情報や安否情報については、まず大手事業者が提供しているサービスを確認してほしい。


◎スマホ、ケータイ用の災害伝言板


 ドコモ、au、ソフトバンクは、スマホ、携帯電話用の災害伝言板を用意している。被災地にいる人は電話番号と伝言を登録でき、また電話番号を入力して伝言を探すことができる。


・ドコモ


・au


・ソフトバンク


◎「Googleクライシスレスポンス」に集約された情報をチェックする


 Googleのクライシスレスポンスには、災害情報・安否情報が集約されている。


 安否情報の「パーソンファインダー」は、「人を探している」、「安否情報を提供したい」の2つの機能がある。「人を探している」機能は、先述のスマホ、ケータイ用の災害伝言板に登録された情報も探すことが可能だ。


 また、スーパーの営業情報、炊き出し&支援物資の集積地点、給水所、ガソリンスタンド、営業中の銭湯、利用可能なトイレ、自動車通行実績マップ、避難所といった情報をGoogleマップ上で確認できる「災害情報マップ」も用意されている。


◎「Yahoo!ニュース」で最新ニュースを確認


 各種メディアサイトや、自治体、インフラ(電気、水道、ガス、交通機関)等についての情報については、「Yahoo!ニュース」に情報が集積されている。


◎「Facebook」ユーザーは、知人に無事を報告しよう


 Facebookの「災害時情報センター」では、自身の無事を知人に伝えたり、知人の安否を確認することができる。


◎配給、給水、避難所等、有志による「熊本地震 情報掲示板」


 有志によって公開されている「熊本地震 情報掲示板」では、避難所、配給、給水、スーパー、トイレ、ガソリンスタンドなどの情報がリアルタイムにまとめられている。


3.11で活躍した、Googleのクライシスレスポンス


 熊本地震では、すでに大手事業者を中心として災害情報がネットで積極的に提供されている。日本においてネットを活用した災害支援が本格的に行われるようになったのは、2011年の「東日本大震災」、いわゆる3.11からだ。中でも活躍が目立ったGoogleのクライシスレスポンスについて、簡単に紹介しておきたい。


 Googleの米国本社には、世界中の大規模災害に速やかに対応するため常設のクライシスレスポンスチームがある。大災害が起こると、各国の担当者と連携してクライシスレスポンスサイトを立ちあげることになっている。3.11では地震発生が発生から1時間46分後の16時32分にクライシスレスポンスサイトが立ち上がり、安否確認情報サービスのパーソンファインダーが公開された。ちなみに、今回の熊本地震でも地震発生から1時間半以内にパーソンファインダーの提供が開始されている。2010年1月のハイチ地震で最初に使われたパーソンファインダーは改良が重ねられ、わずかな手順でサービスを開始することができるように工夫されているのだ。


 3.11では、避難所に張られている避難者の名簿を(管理者の許可を得た上で)有志が撮影して、Googleの画像共有サービスに投稿。社内外のボランティアが手書きで書かれた名前をテキスト入力し、パーソンファインダーに入力していった。最終的にボランティアがよって入力された安否情報は14万件。個人が入力した情報、テレビなどのメディアからの情報も合わせると、パーソンファインダーには67万件もの安否情報が入力された。


 パーソンファインダー以外にもGoogleは、YouTubeで地上波のニュース番組を無料配信、ホンダなどの提供していた自動車通行実績情報をGoogleマップで表示、高精細な衛星写真・航空写真の提供、ボランティアとコラボした生活救援情報の提供といったさまざまな取り組みを行った。


 注目すべきは巨大IT企業1社が災害支援活動を行ったのではないと言う点だろう。ボランティアや公的機関、他分野の企業などと柔軟につながっていくことで、迅速かつ的確な情報提供が実現されていったのである。


○参考:『Googleの72時間 東日本大震災と情報、インターネット』林信行 著、山路達也 著


 今回の熊本地震はまだ大きな揺れが続き、予断は許されないが、3.11で得られた貴重な情報連携のノウハウが活用されることを期待したい。



山路達也


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