起業するなら知っておきたい、日本政策金融公庫の元創業融資担当が明かす資金調達テク

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2016年04月27日 19:02  新刊JP

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『事業計画書は1枚にまとめなさい 公庫の元融資課長が教える開業資金らくらく攻略法』(ダイヤモンド社刊)
新たな事業を起こしたり、店舗を開業したりするために、どれくらい資金を調達しなければいけないか知っているだろうか。

答えは1365万円。これは、日本政策金融公庫の「2015年度新規開業実態調査」で公表されている数字だ。

もちろん業態や開業する場所などの条件によって、この額は上下するわけだが、これから起業を考えている人ならば、この数字を目安に考えていくことに越したことはない。

しかし、1365万円という額は意外と大きい。パッと用意できるような金額ではない。親族や信頼できる人に資金を借りるという選択肢もあるのだろうが、それだけでは心もとないだろう。

そこで出てくる選択肢が、金融機関からの資金調達である。

■資金調達をスムーズに進めるために知っておきたいノウハウ

『事業計画書は1枚にまとめなさい 公庫の元融資課長が教える開業資金らくらく攻略法』(ダイヤモンド社刊)の著者、上野光夫さんは、26年間、日本政策金融公庫に勤務し、主に中小企業への融資審査業務に携わり、その後自身も起業という経歴を持つ。

上野さんが、まず真っ先に起業家が身につけるべきスキルとして挙げるのは「資金調達のノウハウ」。

なぜなら、立ち上がったばかりの事業に「山あり谷あり」な状況はつきもの。軌道に乗ったかと思えば、そのすぐ後に事業存続の危機に見舞われることは珍しくないからだ。事業を長く続ける上で、必要な資金を必要なときに調達できる状態になる。つまり、資金調達のノウハウを心得ているかどうかは、起業家にとって死活問題なのだ。

上野さんがかつて勤務していた日本政策金融公庫は政府出資100%の金融機関で、中小企業の資金調達支援や融資を行っている。しかし上野さん曰く、融資審査の合格率は50〜60%。すべての希望者が融資を受けられるわけではないのだ。

融資を受けるにはどうすればいいのだろうか。本書からそのノウハウを3つ紹介しよう。

(1)地方銀行や信用金庫と「同時に」融資を受ける

上野さんによれば、ここ数年、日本政策金融公庫と地域の銀行や信用金庫は、「業務連携・協力に関する覚書」の締結を進めているそうだ。
互いの顧客の紹介をすることで、地域の起業家の発掘につながったり、双方のリスクを低減できたりと何かとメリットが多いからだ。

この動きを踏まえ、日本政策金融公庫の創業融資のハードルを下げるためのノウハウとして、「民間金融機関を通じて申し込む」という方法が紹介されている。

特に、必要金額が1000万円を超えるなら、身近な信用金庫などの担当者に「○○信用金庫さんと公庫の融資を同時に利用したい」と話をもちかけることで、審査がスムーズに運ぶことがあるという。

(2) 「中小企業経営能力強化資金」を有効活用する

これも(1)と同じく、融資のハードルを下げるためのノウハウである。

日本政策金融公庫が用意している制度のなかに、「中小企業経営能力強化資金」というものがある。これは外部専門家(認定経営革新等支援機関)からのアドバイスを受けて事業計画を作り込み、融資を申し込むというスキームで、融資の審査が多少パスしやすくなるという。

(3)融資金額が減額されたときの対応策

無事、融資を受けられたとしても、融資金額を減額されてしまうケースがある。上野さんによれば、そういった場合に注意すべき点があるという。

たとえば600万円の融資申し込み時の資金使途が、設備資金300万円、運転資金300万円で、決定金額が300万円であった場合、その300万円がどれに対しての融資なのかを確認する必要があるのだ。

そして、その300万円が設備資金なら、減額されたとしても予定していた設備を購入しなければならない。もし減額されたからといって購入をやめれば、「資金使途流用」と見なされ、一括返済を求められるリスクがあるからだ。

ここまで、融資が受けられやすくなる方法を紹介してきたが、本書が主眼を置いているのはあくまで、円滑に創業融資を受けるための「事業計画書の書き方」だ。

上野さんによれば、事業計画書は1枚にまとめたほうが審査に通りやすいとのこと。なぜ1枚にまとめるべきなのか、そして1枚にまとめるにあたり、何を重視すべきなのかを知りたい人は、ぜひ本書を手に取って確認してほしい。
(新刊JP編集部)

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