地域活性の新たな形 「くまモン」プロデューサーと“弱小”航空会社とのコラボ

1

2016年04月28日 17:02  新刊JP

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

新刊JP

『天草エアラインの奇跡。赤字企業を5年連続の黒字にさせた変革力!』(集英社刊)
一時、「ゆるキャラ」がブームとなったが、今ではすっかり飽和状態の感もある。それだけ地域活性化というものは一筋縄には行かないという証なのかもしれない。
しかしその一方で、「旅客機」を地域活性のためのツールとして使い、一定の効果をおさめている例もある。熊本に拠点を置く天草エアラインだ。

実はこのケース、「くまモン」のプロデュースを手がけたことでも有名な小山薫堂氏が関わっているという。その内幕とはどのようなものだったのか。また、このことが同社の業績へどのように結び付いていったのか。

『天草エアラインの奇跡。赤字企業を5年連続の黒字にさせた変革力!』(集英社刊)の著者、鳥海高太朗さんに話を聞いた。

―本書では、小山薫堂氏、パラダイス山元氏という、二人の外部サポーターについてのエピソードも紹介されています。同社がこれほど効果的に外部の力を活用できた要因は何だと思いますか。

鳥海:前天草市長の安田さんの影響が大きいと思います。奥島さんはまず、同社を変革していくなかで、広い視野をもった人のアドバイスは不可欠だと考えた。そこで、くまモンを手がけた天草出身の小山薫堂さんに協力を求めた。これがスタートです。

そして小山さんのアドバイスを忠実に実行した奥島前社長が形にしてきたことで、人が人を呼ぶことになりました。天草エアラインの親子イルカの塗装になる際のデザインコンテストの審査員として天草を初めて訪れたパラダイス山元さんも天草に魅了されて、サンタクロースのイベントを実現するなど、輪がどんどん大きくなったと思います。

―鳥海さんの目から見て、V字回復前後で同社が最も変化した点はどのようなところだと思いますか。

鳥海:社員の皆さんが明るくなり、自分の会社に誇りを持ち始めたことが一番の変化でしょう。以前は、「お荷物」と言われることも少なくなかった。でも、メディアで取りあげられるようになり、多くのお客様が親子イルカの機体の前で記念撮影するなど、目に見えて成果が出るようになっていった。その結果、会社全体が明るくなったという印象です。

―成長した同社がさらなる高みに達するため、あえて「同社が抱える課題」があるとすれば、それはどのようなものだと思いますか。

鳥海:天草エアラインの一時的なブームではなく、天草に何度も訪れていただくリピーターへ向けた環境作りがこれから更に求められると思います。飛行機もATR(※)に変わったことで39人乗りから48人乗りになりましたし。

これからはますます、一度来ていただいたお客様に再度天草へ訪問してもらえるような取り組みを街と一体感を持って取り組むべきだと思いますね。

天草はイルカウォッチングや?津教会・大江教会などの教会群など観光スポットも多くあるほか、お寿司や海鮮焼きなどの海鮮、そして牛肉も美味しいお店が沢山あります。特に食のリピーターは毎年訪れてくれます。

本書の小山薫堂さんのインタビューにもありましたが、「天草エアラインが天草のメディアになる」ということで、天草の広告塔の絶対的存在になれるように頑張って欲しいです。

―本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか。

鳥海:特に中小企業の経営者や社員の方に読んでいただきたいと思っています。中小企業においては、社長の行動が社員のやる気に直結します。また社員も自分に与えられた業務だけでなく限られた人員の中で、他の人の手伝えることを手伝うという、この本でも書いている「マルチタスク」を自分の会社ではどのように実践することができるのかを考えるきっかけになればと思います。

もちろん飛行機が好きな方、旅行が好きな方にも面白い内容になってますので、肩肘張らずに読んでいただきたいですね。

―最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

鳥海:是非この本を読んだ後に、一度天草エアラインに乗って天草を訪れていただきたいです。実際に飛行機に乗っていただくことで、会社とお客様の距離が近いということもすぐにわかると思います。今までと違った体験ができる旅になること間違いなしです。わずか1機で社員が57名しかいない航空会社、そして中小企業の新しい姿を現地へ行って、生で見て欲しいです。

※…Avions de Transport Régionalの略。航空機メーカーの名称
(新刊JP編集部)

    前日のランキングへ

    ニュース設定