特定のプロジェクトやプロダクト・サービスに対して、不特定多数の人々が比較的少額の資金を提供するクラウドファンディング(Crowdfunding)は、個人や非営利団体、スタートアップ企業など、様々な主体の資金調達手段として、その地位を確立してきた。
クラウドファンディング専門リサーチ会社Massolutionによると、クラウドファンディングの世界市場は、2015年時点で344億ドル(約3.8兆円)規模にのぼり、2014年の162億ドル(約1.8億円)から2倍以上に拡大。
これらは、
・資金提供者に対する報酬の形態によって、金銭的報酬のない“寄付型” ・プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援する“購入型” ・金銭の報酬が伴う“投資(エクイティ)型”
に大別される。
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省エネルギー化を推進する「投資型クラウドファンディングサービス」
ドイツのフランクフルトで2013年8月に創設された『bettervest(ベターベスト)』は、省エネルギー化や再生可能エネルギー推進のためのプロジェクトに特化した、投資型クラウドファンディングサービスだ。
ガーナの学校での太陽光発電システムの設置や、ハンガリーの学校でのLED照明の導入など、創設以来、36のプロジェクトでクラウドファンディングを実施し、合わせて1,239.8トンもの二酸化炭素を削減している。
50ユーロから「省エネ投資」に参加できる
『bettervest』では、外部の専門コンサルタントと社内のエンジニアが、事前に、各プロジェクトの二酸化炭素削減効果を試算。
さらに、利回りや期間などを定めた上で、ウェブサイトを通じて、クラウドファンディングを開始し、資金を募る。
一般ユーザーは、最低50ユーロ(約6,250円)から出資でき、出資額に応じて、プロジェクトの持分を取得。
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目標額を達成したら、ソーラーパネルの設置やLED照明の導入など、プロジェクトで定めたソリューションを実行し、出資者には、定められた期日に、配当金が分配される仕組みだ。
中長期視点で投資対効果をモニタリング
『bettervest』が投資型クラウドファンディングを採用した狙いについて、共同創業者で最高経営責任者(CEO)のPatrick Mijnals氏は、次のように語っている。
<一般に、寄付型や購入型のクラウドファンディングは、出資が完了すると、プロジェクトへの関心は薄れてしまいがち。
しかし、本来は、これらの資金によってソリューションが実行され、何らかの成果がもたらされることこそ、重要です。
『bettervest』は、省エネルギー化や再生可能エネルギーの推進というグローバルな課題に対して、中長期視点で投資対効果を広くモニタリングしやすくするため、投資型クラウドファンディングを採用しました。>
『bettervest』は、企業や教育機関などにとって、省エネルギー化や再生可能エネルギー推進のための代替的な資金調達手段となるのみならず、私たち一人ひとりの社会貢献型投資のかたちとしても、有効に活用できそうだ。
【参考・画像】
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※ GLOBAL CROWDFUNDING MARKET TO REACH $34.4B IN 2015, PREDICTS MASSOLUTION’S 2015CF INDUSTRY REPORT – Crowdsourcing LLC