「味変わんねーから!」コンビニ「適当」店長が期限切れ商品販売、法的問題は?

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2016年05月23日 15:12  弁護士ドットコム

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賞味期限切れの商品を客に提供したり、レジの差額をネコババする「適当すぎる店長」のエピソードが、ネット上の掲示板に投稿されていた。


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投稿者が働くコンビニの店長は、「仕事なんて適当でいんだよ!」と豪語。「賞味期限なんて2〜3日は誤差だし味変わんねーから!」と賞味期限が切れたおでんや中華まんを提供したり、レジ清算でプラスが出た場合は「臨時収入だからよ!!」と店長が差額をもらっていくそうだ。



接客も適当で、「いらっしゃいませ」すら言わず、クレーム電話が来ても「へーふーんはあすいませんねえ〜」と聞き流して電話を切ってしまうのだという。



見方によっては、適当店長のもとでのびのびと働ける「バイト天国」なのかもしれない。しかし、賞味期限切れ商品の提供や、レジ清算の差額をネコババすることは、さすがにマズい気もする。適当すぎる店長の行為は、法に触れないのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。



●店長の行為は違法?


「賞味期限は、『開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、おいしく食べられる期限』として、製造業者があくまで自主的に設定したものです。賞味期限切れの商品をお客さんに提供すること自体は違法ではありません。



しかし、食品衛生法では、人の健康を損なうおそれがある腐敗した食品を販売・陳列すること禁止しています。賞味期限切れの商品を販売することで、結果としてこれに違反した場合は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることになります。



また、賞味期限切れの食品を提供したことにより、食中毒が発生した場合には、民事上及び行政上の責任を負うこともあります」



河野弁護士はこのように述べる。店長がレジ清算の差額をネコババすることについてはどうだろうか。



「店長がレジ内のお金を勝手にもらう行為については、店長とオーナー、オーナーとフランチャイザーとの契約内容などによって考え方が変わってきますが、仮にプラス精算(計算上の金額よりも多く残っている金銭)であっても、多くの場合、店長には、業務上横領罪もしくは窃盗罪が成立することになります。



また、たとえ店長からの指示でも、賞味期限切れの商品を販売したり、従業員自身もプラス清算のお金をもらうなどして、違法行為に加担した場合は、店長とともに従業員も刑事上及び民事上の責任を問われることになります。



違法行為の指示を出された場合は、毅然と断るのが一番ですが、それができない場合には、周りの人に相談するようにしましょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
河野 祥多(こうの・しょうた)弁護士
2007年に茅場町にて事務所を設立以来、個人の方の相談を受けると同時に、従業員100人以下の中小企業法務に力を入れている。最近は、ビザに関する相談も多い。土日相談、深夜相談も可能で、敷居の低い法律事務所をめざしている。

事務所名:むくの木法律事務所
事務所URL:http://www.mukunoki.info/


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